こんにちは!言葉力編集長のケンです。
先日、街を歩いていると「迷子の犬を探しています」というポスターを見かけました。
あれっ、こういう時に使う漢字は”探す”ではなく、”捜す”ではないだろうか・・・
その時、頭の中で、こんがらがってしまったので、ここでは、”探す”と”捜す”の違いについて具体的に解説していきます。
“探す”と”捜す”では見つける対象が違う
“探す”と”捜すの違いを簡単に説明すると、見つける対象に違いがあると言えます。
“探す”の意味と例文
“探す”場合、見つけたい対象物は、
- 欲しいもの
- 見つけたいもの
となります。
ここで、探す対象物は、必ず実在するものとは限りません。
探すの例文を挙げてみると・・・
- いい男を探す
- 仕事を探す
- 彼女の良いところを探す
- 安いお店を探す
- グッチの財布をデパートで探す
- ネッシーを探す
というように、見つけたいけれども、本当にあるかどうかは分からないものであるということがお分かり頂けるかと思います。
捜すの意味と例文
その一方で、”捜す”場合、見つけたい対象物は、
- なくなってしまったもの
- 失ってしまったもの
- いなくなってしまった人
となります。
ここで、捜す対象物は、確実に存在しているものです。
捜すの例文を挙げてみると・・・
- 迷子を捜す
- 犯人を捜す
- 行方不明になった夫を捜す
- 落とした財布を捜す
というように、さがすものが非常に明確になっていることが分かります。
“探す”と”捜す”は英語だと違いはない?
日本語だと、状況によって、”探す”と”捜す”を使い分けますが、英語の場合は、どちらの場合でも
- search
- look for
- seek
を使うことが出来るので、”探す”と”捜す”に違い(difference)はありません。
境目が曖昧なケースも
ただ、その一方で、”探す”と”捜す”では、例外的に使うケースもあります。
例えば、冒頭で紹介した”迷子の犬を探す”という表現です。
迷子の犬は、失ってしまったものをさがすので、”捜す”と書くべきだと思いますが、一般的には”探す”が使われています。
また、家の中にで、テレビのリモコンが見当たらなくなった時も、リモコンを”探す”とは書きますが、”リモコンを”捜す”とは書きません。
実は、日本新聞協会が出している新聞用語集では、”捜す”は、捜査の意味だけを使う特殊用語とされています。
ですから、その観点から見ると、迷子の犬やリモコンは、捜査対象になり得ないから”探す”になるという見方も出来ます。
また、”探す”と”探す”は違いが曖昧になる時もあるため、その時は一般的な表現である”探す”を用いた方が分かりやすいという話もあります。
ですから、ここら辺は状況によって使い分ける必要性が出てくるとも言えます。