先日、友人が、「この間、あいつ、何があったのか分からないけれども、怒髪天を衝く勢いで激怒していたよ。」と話していたんですね。
その時、サイヤ人でもあるまいし、怒りで髪の毛が立ことってあるのかなといろいろ考えまして・・・
そこで、今回は、「怒髪天を衝く」の意味、由来、使い方、そして類語について解説をしていきます。
目次
「怒髪天を衝く」の意味
「怒髪天を衝く」とは、怒りのあまり髪の毛が逆立っていること、激しい怒りの形相になることを意味します。
読み方は「どはつてんをつく」です。
怒った時に、頭髪が逆立って、かぶっていた冠を突き上げる様子を指した故事成語です。
怒りで髪の毛が逆立つことはあり得る?
実際、怒りで髪の毛が逆立つことってあり得るのでしょうか?
漫画を見ていると、ドラゴンボールに出て来るスーパーサイヤ人の髪の毛が怒りによって逆立つのを見た人は多いかと思います。
ただ、人間の場合、起こった時、髪の毛は重たいので、物理的に逆立つのは難しいでしょう。
その一方で、猫は怒ると毛を逆立てますので、人間も怒った時は、毛穴に何らかの力は伝わっていると思われます。
「怒髪天を衝く」の由来
「怒髪天を衝く」は、中国の春秋戦国時代に、趙という国の藺相如(りんしょうじょ)という人物が、秦の王に対して、激怒した時の話が由来となった故事成語です。
秦の王、宝の玉を狙う
当時の覇権国家は、秦であり、趙は弱小国家でした。
秦の王は、趙の王が、菓子の璧(かしのへき)という宝の玉を手に入れたという話を聞き、それを横取りしようと企てます。
そのために、まずは、秦が持っている15の城とそれに伴う領地を、宝の玉と交換しないかと趙の王に提案しました。
秦の王を警戒した趙の王は・・・
しかし、趙の王は、当時の力関係から考えて、宝の玉を渡しても、城を渡そうとはしないだろうと危惧します。
ただ、秦の提案を断ると、今度は、それを口実に秦が趙を攻撃するのではないかと心配をしていました。
そんな時に、趙の宦官長である繆賢(びゅうけん)が、自分の食客(しょっかく※客の待遇で養われている人)であった藺相如を使者として推薦します。
趙の王から、宝の玉を無事に持ち帰るという使命を受けた藺相如は、秦の王の元に向かうのでした。
激怒する藺相如
秦の王に会った藺相如は、まず、宝の玉を渡しました。
しかし、秦の王は、それを家臣や次女に見せびらかすばかりで、15の城を渡す話をまったくしようとしません。
そこで、藺相如は、「宝の玉にはキズがあるのでお見せしましょう」といって、いったん、玉を受け取ります。
そして、受け取るやいなや、「あなた達の失礼な態度を見て、私は、あなた達が、この宝の玉を横取りしようとすることを確信した。だったら、自分の頭ともども玉をこなごなにしてやる」と髪の毛をさかだてながら、ものすごい怒りの形相で、怒鳴りました。
その気迫に圧倒されて、秦の王は、藺相如の話に耳を傾けるようになったというのです。
「怒髪天を衝く」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「怒髪天を衝く」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 夫の不倫現場を目撃した妻は、怒髪天を衝く勢いで、夫を攻め立てた。
- 彼は、怒髪天を衝く勢いで怒りに震えた。
- 普段はおとなしい彼女だが、その話を聞いた時は、怒髪天を衝くような様子だった。
- 店員の態度に腹を立てた客は、怒髪天を衝く勢いで店長を帯び出した。
「怒髪天を衝く」の類義語
「怒髪天を衝く」には以下のような類語があります。
怒りの表現はいろいろありますが、怒髪天を衝くの心理状態は、髪の毛が逆立つほどですから、怒りの中でも最上級の該当すると言えるでしょう。
四字熟語で表現すると?
「怒髪天を衝く」を四字熟語で表現する場合は、「怒髪衝天(どはつしょうてん)」ということが出来ます。
怒髪衝天を読み下すと、怒髪天を衝くとなるので、意味はまったく同じです。
まとめ
「怒髪天を衝く」は、読んで字のごとく、髪の毛が逆立つほど、激しく怒ることを意味します。
もちろん、物理的に怒りで髪が逆立つことはありません。
ただ、それだけ、怒っているんだということを伝える意味で、この故事成語を使うと良いでしょう。