この間、株をやっている友達が、「あの時、この会社の株を買っておけば、今頃、大金持ちだったのに・・・ 本当に臍を噛む思いだよ。」と悔しがっていたんですね。
その時、「臍を噛む」の「ほぞ」って何なのかと少し考えてしまいまして・・・
そこで、今回は、臍を噛むの意味、由来、例文、そして類語について解説をしていきます。
「臍を噛む」は読み方に注意
「臍を噛む」の読み方は「ほぞをかむ」です。
「臍」は「へそ」と読むことも出来るので、「へそをかむ」と読んでしまう方もいらっしゃいますが、正しくは、「ほぞ」なので、ご注意下さい。
「臍を噛む」の意味
「臍を噛む」とは、どうにもならないことを後悔するという意味です。
「臍」は「へそ」を意味しますが、自分のへそを噛むことは、絶対に出来ませんよね。
同じように、起こってしまったことを後悔しても、自分のへそを噛むことが出来ないくらい、どうしようもすることが出来ません。
そのような、どうにもならないことを悔やむ時に「臍を噛む」という慣用句を使います。
普通に、後悔すると言っても良いのですが、そこで、悔しい気持ちを強く表現したい場合は、「臍を噛む」と表現すれば良いでしょう。
「臍を噛む」の由来
「臍を噛む」の出典は、中国の歴史書、「春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)」です。
春秋時代、鄧(とう)という国の祁侯(きこう)というが楚(そ)という国の文王(ぶんのう)を泊めてもてなしました。
その際、祁侯(きこう)の三人の忠臣が、文王は、やがて敵対してくるので、今の内に文王を殺しておくことを進言します。
その時に行った言葉がこちら、
郤国を亡ぼす者は必ず此の人なり。若し早く図らずんば後に君臍を噛まん
つまり、自分たちの国(鄧)を亡ぼすのは、絶対、この人(文王)だから、早く殺さないと、後悔しますよと言ったのですね。
しかし、祁侯(きこう)は、忠臣達の助言を無視して、文王を殺しませんでした。
そして、それから十余年後、忠臣の言った通り、鄧は楚の文王に滅ぼされてしまったのです。
「臍を噛む」の例文・使い方
次郎
太郎
- あの時、彼からのプロポーズを受け入れていたらと思い、臍を噛むような気持ちになった。
- あと一人打ち取ればノーヒットノーランを達成するところで、ヒットを打たれ、臍を噛んだ。
- 重要な商談に遅刻をした結果、契約を結ぶことが出来ず、臍を噛んだが、今となっては、どうすることも出来ない。
- 今の内に、しっかり勉強をしておかないと、年を取ってから臍を噛むことになってしまうよ。
「臍を噛む」の類語
「臍を噛む」と似た意味の慣用句としては以下のようなものがあります。
- 地団駄を踏む:怒りや悔しさから、地面を激しく踏むこと
- 後悔先に立たず:既に終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないということ
- 覆水盆に返らず:一度起きてしまったことは、二度と元に戻らないこと
- 後の祭り:時期に間に合わず、手遅れになること
ここでは、悔しさや後悔という意味を含むという慣用句を紹介してみました。
ちなみに、「臍を噛む」とは後悔する気持ちを表現する時に使いますが、「後悔先に立たず」、「覆水盆に返らず」、「後の祭り」は、後悔してもしょうがないことを強調する時に使うという点で違いがあります。
「砂を噛む」との混同にご注意
「臍を噛む」と似たような表記の慣用句として「砂を噛む」があります。
どちらも「噛む」という表現を使っているので、「砂を噛む」も「臍を噛む」と同じように、悔しくてたまらないという意味で使う方が実はたくさんいらっしゃいます。
しかし、「砂を噛む」は、「味わいや面白味がまったくない」というまったく別の意味の慣用句なのでご注意下さい。
砂を噛むの意味・例文・類語!約6割の人が誤用している!?まとめ
「臍を噛む」には、後悔するという意味で使われますが、とても悔しいというニュアンスが含まれます。
今までの人生を振り返ってみると、どんな人にでも、「あの時に、ああしておけば良かった。」と後悔するタイミングはいくつかあるのではないでしょうか?
もちろん、今から過去に戻って、違う選択を行うことは絶対に無理な話ですが、悔しい気持ちがものすごく強い時は、「臍を噛む」という表現を使ってみて下さい。