先日、友達がボクシングを観戦しながら、「彼は、このまま行けば勝てると思って油断したから、足元をすくわれたな。」と言っていたんですね。
その時、それって「足元をすくわれる」じゃなくて「足をすくわれる」じゃなかったっけと思ったのですが・・・・
そこで今回は、正しい方の意味、由来、例文、類語、そして英語での表現について解説をしていきます。
目次
足元をすくわれる?足をすくわれる?
まず、「足元をすくわれる」と「足をすくわれる」のどちらが正しいかを最初にお伝えすると、
正しくは・・・
「足をすくわれる」
です。
なので、「足元をすくわれる」は誤りということになります。
ただ・・・
文化庁が発表した「平成19年度 国語に関する世論調査」で「卑劣なやり方で、失敗させられること」を何というかという質問に対して、
- 「足下(足元)をすくわれる」だと答えた人:74.1%
- 「足をすくわれる」だと答えた人:16.7%
という完全に逆転した結果が出ているのですね。
ですから、このままいけば、「足元をすくわれる」の方が正しい表現だと言われてしまうかもしれません。
「足をすくわれる」の意味
「足をすくわれる」とは、「卑劣なやり方に遭ったり、油断したりすることによって、隙を突かれ、失敗させられる」という意味です。
それまで順調であったり、順当に行くであろうと思われていた人が、思わなぬ形で、失敗してしまう時によく使います。
「足をすくわれる」の由来
「足をすくわれる」を漢字で書くと、「足を掬われる」です。
「掬う」は、下から上へすばやく持ち上げることを意味し、「掬われる」はその受身形ですね。
実際に、足をすくわれると、体のバランスが崩れて、一気に崩れる可能性が高いです。
そのような様子から転じて、それまで順調だった人が、一気に失敗をさせられるという意味になったのです。
「足をすくわれる」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「足をすくわれる」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
「足をすくわれる」の例文1
「その会社は以前は、業界のシェアを独占していたが、変化の波に対応が出来ず足をすくわれ、ずるずる業績を落としてしまった。」
たとえ、業績が好調な会社だからといって、今は変化の激しい時代ですから、思わぬことがきっかけとなって、業績が落ちてしまう可能性は十分あります。
ですから、良い結果が出ている時こそ、謙虚な気持ちで、向上心を忘れないことが大切なのかもしれませんね。
「足をすくわれる」の例文2
「テレビで人気が出ている人は、週刊誌にスキャンダルを暴露されて、足をすくわれる可能性があるから注意しなければいけない。」
時々、テレビで大人気の人が、スキャンダルをきっかけにして、一気にイメージが悪くなり、テレビに一切出なくなることってありますよね。
そういった意味で、芸能界では足をすくわれる人達をよく見かけるような気がします。
「足をすくわれる」の例文3
「世界ランキング一位のチャンピオンが、格下の相手に思わぬ形で足をすくわれ、敗退してしまった。」
スポーツの世界でも、油断をしたり、勝つことを意識したりすることによって、本来の力を発揮できなくなり、負けてしまうことはよくあります。
前評判の高かったチームや選手が負けてしまう時にも、足をすくわれるという表現はよく使われます。
「足をすくわれる」の類語
「足をすくわれる」には以下のような類語があります。
- 飼い犬に手を噛まれる:日頃から可愛がり面倒を見てた者から、ひどく裏切られたり、害を受けたりすること
- 不意打ちに遭う:油断していたところにつけ込まれること。
- 虚をつかれる:油断していて隙を突かれること。
- 隙を突かれる:油断をしていたところにつけこまれること。
- 寝首を掻かれる:信頼していたものに反抗されること。
「足をすくわれる」を英語で表現すると?
「足をすくわれる」を英語で表現すると以下のようになります。
- If he is not careful enough, he might fail. (注意をしていないと落ちるかもよ)
- If you are careless, he might pull the rug from under you. (注意しないと、じゅうたんを足元から引かれるよ。)
英語では、「足をすくわれる」ところを“pull the rug(じゅうたんを引く)”と表現したりしますが、確かに、そうされると、完全に足をすくわれますよ。
まとめ
「足をすくわれる」は「足元をすくわれる」と混同されやすいですが、正しいのは「足をすくわれる」です。
しかし、実生活では、「足元をすくわれる」を使う人が圧倒的に多いという、ある意味、とても紛らわしい慣用句でもあります。
特に国語の試験などに出ると、ついつい「足元をすくわれる」と書いてしまって、「足をすくわれる」結果になる可能性も高いので、お気をつけ下さい。