先日、感動的な映画を観た友達が、「キャスティングは素晴らしいし、ラストシーンも涙を禁じ得ないし、この映画は絶対観た方がいいよ。」と言っていたんですね。
その時「禁じ得ない」ってどんな時に使うのかなと、ふと疑問に思いまして・・・
そこで、今回は、「禁じ得ない」の意味、使い方、類語について解説をしていきます。
「禁じ得ない」の意味
「禁じ得ない」とは、ある感情が湧き上がってくるのを止められないことを意味します。
この表現は、少し固いニュアンスがあるので、会話の中で気軽に使うというよりは、かしこまった会話や文章の中で使う書くことが多いです。
文法的には「(名詞)+を禁じ得ない」という形で、頭に、感情を伴う名詞をつけて使います。
具体的には、驚き、悲しみ、同情、怒り、涙などが付いたりします。
「禁じ得ない」という表現が良い意味になるか悪い意味になるかは、頭につける単語によって決まります。
人の感情は、ある程度のレベルであれば、理性で抑制することが可能です。
しかし、理性で抑えることが難しくなるほど、感情が湧き上がってくる時は、禁じ得ないという表現を使います。
「感じ得ない」の誤用に注意
時々、「禁じ得ない」と「感じ得ない」と混同してしまう方もいらっしゃいます。
しかし、「感じ得ない」という表現はありません。
もし、「感じる」を使うのであれば、「感じざるを得ない」という形で使います。
「禁じ得ない」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「禁じ得ない」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 悪いことをしたのに自らの正当性を主張し続ける彼の図々しい態度には、驚きを禁じ得ない。
- 突然の訃報を受け、深い悲しみを禁じ得ない。
- 彼女が今まで経験してきた苦労話を聞いて、同情の念を禁じ得なかった。
- 面白動画を観ていたら、衝撃のラストに笑いを禁じ得なかった。
- 事故を起こした会社のずさんな危機管理体制の詳細が分かれば分かるほど、怒りを禁じ得ない。
- 先生の偉大な功績には、尊敬の念を禁じ得ない。
「禁じ得ない」の類語
「禁じ得ない」は以下のような類義語に言い換えることが可能です。
- 抑えることができない
- 抑制できない
- 止めがたい
いずれの表現にも、止めたり抑えたりすることが出来ないという意味が含まれますね。
「禁じ得ない」を英語で表現すると?
「禁じ得ない」は英語だと、“cannot help ~ling”や、“cannot help but”という表現が該当します。
例文を挙げてみると、
- I can’t help but feel sorry for the accident.(その事故には同情を禁じ得ない)
- we can’t help respecting his fine character.(私たちは彼の素晴らしい人柄に尊敬の念を禁じ得ない)
という感じで使ったりします。
まとめ
「禁じ得ない」は、ある意味、堅苦しい表現なので、日常会話で使うと、少し違和感を覚えるかもしれません。
ですから、基本的には、文章を書く時などで、かしこまった表現をしている時に使うと良いでしょう。