先日、ある漫画家が「作品は、写実的な作品が増えてきましたよね。」という発言をしていました。
それを聞いて、「写実的」という言葉は、学校でもいろいろ習ったことを思い出しまして。
そこで、今回は「写実的」の意味、使い方、例文、英語での表現、類語、そして対義語について解説をしていきます。
「写実的」の意味
「写実的」とは、現実をありのままに伝えようとするさまを意味します。
ですから、「写実的」な概念の中では、主観、空想、或いは想像というものが、一切、含まれません。
美化することもなく、変に歪曲することもなく、客観的に表現することを指すのです。
「写実的」の使い方
「写実的」は、芸術の世界でよく使われる表現ですが、具体的な使い方についてお伝えしていきます。
写実的な絵
写実的な絵とは、写真のような絵です。
絵の中には、写真にしか見えないようなものもあります。
日本では、平安末期から鎌倉時代に流行した似絵(にせえ)が写実的な手法だと言われています。
海外だと、14~16世紀にイタリアから始まり、西ヨーロッパで展開された、ルネサンスの時期に、彫刻や絵画などで、写実的な芸術作品が数多く生まれるようになりました。
また、写実的な絵は、人物を描くことが多いのですが、その一方で、葛飾北斎が描いた波は、ハイスピードカメラでとらえ波と酷似していて写実的だという意見もあります。
写実的な小説
写実的な小説とは、現実を美化することもなく、理想化することもなく、あるがままに表現しようとする小説です。
そういった小説では、精巧な考証に基づいた客観的な描写が行われています。
「写実的」の例文
「写実的」を使った例文をご紹介していきます。
- この展示会では写実的な表現で「虎」を主題とした作品が展示されている。
- この作品は、未来の様子を写実的に描いた作品として注目されている。
- 日本の絵画は、歴史的に見て写実的な絵が少なかった。
「写実的」を英語で表現すると?
「写実的」は英語で表現すると、
- graphic
- realistic
と表現することが出来ます。
また、写実主義という考え方は、“realism”と訳すことが出来て、カタカナで表記すると「リアリズム」ですね。
「写実的」の類語
「写実的」には、以下のような類語があります。
現実的
現実的とは、考え方などが現実に即しているさまを意味します。
ありのままを見るという点では「写実的」と似ていますが、
- 写実的:描写に関して使われることが多い
- 現実的:考え方や思想に関して使われるこが多い
という違いがあります。
リアリスティック
「写実的」は、英語では、“realistic” と表現できますが、それをカタカナで表記すると、リアリスティックとなります。
ちなみに、“realistic” には、「現実的」という意味を含まれます。
「写実的」の反対語・対義語
「写実的」の反対語としては以下のようなものが該当します。
抽象的
「抽象的」とは、物事の共通点を抜き出したもの、具体的に欠けたさま、を意味します。
具体的なディテールを追求する「写実的」とは対極的な考え方ですね。
観念的
「観念的」とは、現実に基づかない考え方です。
現実を見るのではなく、頭の中だけで考えるという点で、「写実的」とは反対の意味を持ちます。
デフォルメ
デフォルメとは、対象物を意識的に変形したり、歪曲したりして表現することを意味します。
漫画でも、頭や目が意識的に大きく描かれることが多いですが、そういった手法がデフォルメであり、写実的とは対照的な表現となりますね。
まとめ
写実主義は、芸術の世界では、よく使われる表現です。
芸術には、考え方や思想の違いによって、表現方法がまったく異なりますよね。
ですから、そういった違いもいろいろと比較しながら、味わってみると面白いかと思います。