先日、私の友人が食事の席で、「あの組織には、昔から利権にまみれた人達が巣食っているから、どうしようもない。」と力説をしていたんですね。
その時、「巣食う」という言葉を聞いて、なぜ「食う」という漢字が入っているのが気になりまして・・・
そこで、今回は「巣食う」の意味、例文、類語、そして英語での表現について解説をしていきます。
「巣食う」の読み方
「巣食う」の読み方は、「すくう」です。
文脈の流れからすると、「救う」と勘違いされてしまう可能性もありますから、間違えられないよう、ご注意下さい。
「巣食う」の意味
「巣食う」には、
- 悪い人達が集まって住んでいる
- 悪い考え方や病気が宿っている
という意味があります。
悪い人達であれ、悪い考え方であれ、特定の場所にはびこってしまって、なかなか取り除く出来ない時によく使います。
元々は、鳥が巣を作って住むことを意味する「巣くう」が語源になっていると言われています。
ただ、ここでの「くう」は「食う」ではなく、「構う」で、鳥が巣を作って構えるという意味でした。
しかし、そこから派生して「巣を作って、そこで食事までしている」、すなわち、しっかり根付いて、生活基盤を築いてしまっているという意味で、「巣食う」という漢字を使うようになったと言われています。
「巣食う」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「巣食う」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
「巣食う」の例文1
「彼は、心に巣食う闇と必死になって戦っていた。」
人は、体の病気で悩む時もありますが、心の病気で苦しむ時もあります。
自分でもコントロールが出来ないような感情を支配してしまうような時は、「巣食う」という表現を使います。
「巣食う」の例文2
「最近は、SNSを通じて、この世界に巣食う闇組織の実態が徐々に明らかになりつつある。」
この世界には、表の世界とは別に、裏の世界があり、そこで暗躍する悪党にかなり影響されている部分があります。
そういった悪党たちを追い払うのは、至難の業なので、そのしつこさを表現しながら「巣食う」と言ったりします。
「巣食う」の例文3
「このお化け屋敷では、ゾンビが巣食う廃墟の空間が完全に再現されていた。」
ゾンビや幽霊などが、住み着いていることを表現する時、「巣食う」をよく使います。
一度、そういった存在が巣食ってしまうと、一般的には、まず元の状態に戻すのが難しいですからね。
「巣食う」の類語
「巣食う」には以下のような類語があります。
「取り憑く」
「取り憑く」とは、相手にしっかりつかまって離れないという意味です。
「巣食う」は住みつくとか、宿うというように一定の場所に留まる意味があるので、その点では、少しニュアンスが異なりますが、「なかなか離れない」という意味では共通しています。
「巣ごもる」
「巣ごもる」とは、鳥などが巣にこもるという意味もありますが、そこから派生して、休日に外出を控えて自宅で過ごすことも意味します。
一定の場所に滞在して、離れないという意味では「巣食う」と似た意味を持ちます。
ただ、「巣ごもる」は、「こもる」ことを強調した言葉であり、悪い人達が集まる際には、ほとんど使いません。
「巣食う」の英語訳
「巣食う」を英語で表現する場合は、
- hang out
- haunt
と訳すことが出来ます。
“hang out”には、当てもなくうろつくという意味があります。
また、“haunt”は、幽霊などが出没する際に使う表現です。
「巣食う」という言葉を直接的に訳した英語はないのですが、状況に応じて使い分けて下さい。
まとめ
「巣食う」は、よくない人達が集まったり、悪い考え方や病気がはびこったりしている時に使う言葉です。
世の中には、本当に厄介な人達や存在がいろいろあるものですよね。
そういった問題の深刻さをアピールしたい時は「巣食う」を使うと良いでしょう。