辛酸をなめる(嘗める)の意味・語源・例文・類義語を徹底解説!


こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。

先日、優勝した野球チームの監督がインタビューを受けていた時、

「去年は、思うような結果が出せず、辛酸をなめるような気持ちでしたが、そこからチーム一丸となってがんばれたことが大きな勝因だと思います。」

と語っていました。

その時、「辛酸をなめる」という言葉が気になったんですね。

辛酸って何なんでしょう・・・!?

ということで今回は、「辛酸をなめる」の意味、語源、例文、そして類語について解説していきます。

「辛酸をなめる」の意味

「辛酸をなめる」とは、「苦しく辛い目に遭う」という意味です。

もちろん、普通に「苦しい」とか「辛い」と表現することも出来ます。

ただ、「辛酸」という言葉を使うと、本当に大変だったとより強く表現することが出来ます。

「辛酸をなめる」の語源

「辛酸をなめる」とは、辛酸をなめるぐらい、苦しく辛い目に遭って来たというたとえですが、では、辛酸と何なのでしょうか?

辛酸は、いずれも五味(酸味,苦味,甘味,辛味,塩味)の中に含まれる味です。

辛は、激しく舌をさすような味であると共に、耐え難い苦痛を意味します。

酸は、鼻をつくすっぱい味であると共に、きびしくつらいことを意味します。

つまり、「辛酸をなめる」は、味覚の意味と重ねることによって、苦しみや辛さをより強く伝えられる訳なのです。

「辛酸をなめる」の例文

やったあ。業績がV字回復だ。去年は本当に苦しかったけど、本当にがんばった甲斐があったよ。

次郎

太郎

去年は、どんなにがんばっても結果が出なくて辛酸をなめるような状況だったからね。あの時、諦めずにがんばって本当に良かっと思うよ。

という感じで「辛酸をなめる」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • その野球チームは、今季、多額の資金を投じて大型補強をしたけれども、リーグ最下位という辛酸をなめる結果に終わってしまった。
  • 日本がここまで発展したなのは、敗戦後、辛酸をなめた親の世代が歯を食いしばって働いて来てくれたお陰だ。
  • 小学校でいじめに遭って辛酸をなめる思いをしてきた彼は、その経験をバネにして、ボクシングのチャンピオンになった。
  • あのタレントは華々しい活躍をする一方で、私生活では、離婚をするなど、辛酸をなめる人生を過ごして来た。
  • 映画の中で主人公が辛酸をなめるどん底から這い上がって成功するというのは共感を呼びやすい定番のストーリーだ。

「辛酸をなめる」の類義語

「辛酸をなめる」には以下ような類義語があります。

「苦汁をなめる」

「苦汁をなめる」は、「苦い経験をする」、「苦しい目にあう」という意味なので、「辛酸をなめる」と似た表現となります。

「苦汁をなめる」の場合は、苦い汁をなめることを意味しますが苦いも五味の中の一つです

「臥薪嘗胆」

「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」は、敵を討つために、苦労し、努力するという意味です。

苦しく、辛い思いをするという点では、「辛酸をなめる」と同じ意味ですが、「臥薪嘗胆」を復讐を成功させるためという明確な目標があるという点が違います。

その他の類義語

その他にも「辛酸をなめる」には以下のような類義語があります。

  • どん底を味わう
  • 挫折を味わう
  • 屈辱を味わう
  • 煮え湯を飲まされる
  • 悲惨な経験をする

人生の辛酸をなめてきた人へ

人生の辛酸をなめてきた人は、そのような過去を振り返るだけでも辛い思いになるかもしれません。

ただ、そういった経験は、必ず人生のプラスに出来ると私は思っています。

もちろん、辛酸をなめている時期は、肯定的な考え方をするのは難しいと思います。

しかし、よくよく考えてみると、

  • 「一度、辛酸をなめる経験をしておくと、その後、どんな苦労をしても、その時よりはマシだと思える。」
  • 「人生の辛酸をなめてきた人は、他人の苦しみや悲しみをより深く理解することが出来る。」
  • 「辛酸をなめる経験をしても、そこでの悔しさをバネにして、成功する人がいる。」

という形でプラスの思考に変えていくことは十分可能です。

人生の辛酸をなめてきたことは、決して無駄な経験ではないことを信じて、是非、がんばって下さいね。