この間、冬に友達とアイスを食べていたら、友達が「こういった寒い日にアイスを食べるのも乙なものだよねえ~」と話していました。
その時、「乙なもの」と聞いて、「なぜ、乙なんだろう、甲じゃダメなのかなあ。」と思いまして・・・
そこで、今回は「乙なもの」の意味、語源、例文、そして類語について解説をしていきます。
「乙なもの」の意味
「乙なもの」とは、「気が利いていて、ちょっといいと思わせるようなもの」を意味します。
他にも良いものはあるけれども、これもまた趣があって良いということを伝える時に使ったりします。
普通のものと比べて、ちょっと変わっているけれども、味わいや面白もがあるという点がポイントです。
「乙なもの」の語源
「乙なもの」の語源には、実は二つの説がありますが、いずれも「甲」とは、また違った良さがあるという点では共通しています。
十干の二番目であること
「乙」とは、十干(じっかん)の二番目にあたるものです。
十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸と10の要素からなる集合です。
この中で、一番良いものは“甲”です。
ですから、「甲のように一番のものも良いけれども、二番目の乙もなかなか良いものだよ」という意味合いが由来となったという説があります。
邦楽の音
その一方で、「乙なもの」は「甲」に対して、劣るという意味ではないという説もあります。
邦楽では、一番高い音を「甲(かん)」と呼び、それに対して低い音を「乙」と呼びます。
「乙」の音は、普通の音よりも低いですが、それでも面白く、味わいがあるということが由来となったという説もあります。
この場合は、どちらからが優れているというよりは、タイプの違いということになりますね。
「乙なもの」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「乙なもの」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 飲み会の最後は、ラーメンを食べるのも良いが、茶碗蒸しでシメるのも乙なものだよ。
- 雨の日の花見も、また乙なものである。
- メールが主流の時代に、敢えてハガキに素敵な切手を貼っておくるのも乙なものではないだろうなあ。
- 冬の海を見るのも、なかなか乙のものだよ。
「乙なもの」と「粋なもの」の違い
「乙なもの」と似た表現として「粋なもの」があります。
「粋なもの」とは、気質、態度、身なりがさっぱりしとあかぬけていて、色気があるものを意味します。
つまり、「粋なもの」には「垢ぬけている」「色気がある」というニュアンスが含まれている訳ですね。
それに対して、「乙なもの」は、「普通とは違う」というニュアンスが含まれた表現です。
ですから、ファッションという観点から見てみると、
- 粋なもの:誰が見てもおしゃれなもの
- 乙なもの:普通とは違う個性的なもの
を指すという感じで視点が異なります。
「乙なもの」の類語
「乙なもの」の類語には以下のようなものがあります。
- 小粋(気が利いてしゃれていること)
- 格好いい
- スマート
- スタイリッシュ
- おしゃれ
- シック
このように類義語はいろいろありますが、こういった表現が該当するものの中で、普通と違う側面が含まれているものが、「乙なもの」により近いと言えます。
まとめ
「乙なもの」は、万民が認める最高のものという訳ではありませんが、それでも、なかなか趣があって良いものを指します。
中には、「乙なもの」とは、B級グルメのようだと表現する人もいますが、確かにそんな感じかもしれませんね。
実際、物事の見方、捉え方、そして楽しみ方は、人によって様々です。
「甲」の部分と呼べるものを良いという人もいますが、「乙なもの」を好む人もいます。
結局のところ、自分なりの味わい方を楽しめればいいのではないかと思います。