自己目的化の意味・例文・類語をわかりやすく解説!

先日、教師をしている知り合いが「英語の試験は、英語力を身に付けるために作られたのに、いつの間にか、良い点数を取ることが自己目的化して、英語の実力が伸びなくなっているよね」と嘆いていました。

その時、「自己目的化」という言葉が心に引っ掛かりまして・・・

そこで、今回は「自己目的化」の意味、例文、そして類語についてわかりやすく解説をしていきます。

「自己目的化」の意味

「自己目的化」とは、ある目的を達成するための手段や行動そのものが、いつの間にか目的にすり替わってしまっていることを意味します。

そして、そのような事態が発生すると、本来、果たそうとした目的とは違った方向へ進むことになり、様々な矛盾した結果を引き起こすようになります。

「自己目的化」の例文・使い方

会社から、残業時間を減らすように言われているけれども、これは簡単じゃないと思うなあ。

次郎

太郎

元々、残業はたまった仕事を早く処理するために、行うものだったけれども、今は、残業代を稼ぎたい人が増えて、残業自体が自己目的化しているからね。

という感じで「自己目的化」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

「自己目的化」の事例をチェックする上でもご参考にして下さい。

「自己目的化」の例文1

「新しく赴任した学長は、自己目的化していた細かい校則を撤廃し「学生よ、紳士淑女たれ」という精神を徹底化させた。」

この例文は、北海道大学の前身である札幌農学校のクラーク学長が、「この学校に校則はいらない。“Be gentleman(紳士であれ)”の一言があれば十分である」という言葉から作ったものです。

校則が自己目的化すると、校則を守る事が自体に心を奪われ、学生らしい生活を送るという本来の目的が失いがちになってしまいますよね。

「自己目的化」の例文2

「今の教育は、受験が自己目的化し、志を持った優秀な人材が育ちにくくなっている」

試験制度は、自己目的化の事例としてよく挙げられます。

受験制度は、その人の実力を測るための一つの手段に過ぎないはずなのですが、「試験で良い点数さえ取れれば良い」と思って勉強する人は実に多いです。

ただ、そういった習慣を改めることも簡単ではないのですが・・・

「自己目的化」の例文3

「最低賃金を上げることが自己目的化して、逆に失業者が増える結果となってしまった。」

本来、最低賃金を上げることは、それによって、働く人を経済的により豊かにするために手段として行われるものです。

しかし、景気が悪い中で、最低賃金を上げることにこだわり過ぎてしまうと、逆に、雇用主が、雇用を控えるようになり、失業者が増えてしまうという逆の結果を招くことになってしまいます。

「自己目的化」の例文4

「彼は、お金を稼ぐことが自己目的化し、結果的に家庭が崩壊してしまった。」

お金を稼ぐことは、本来、幸せな生活をするために必要な手段であるはずです。

しかし、お金を稼ぐことが自己目的化し、何よりもお金を稼ぐことが最優先されてしまうと、仮にお金を稼ぐことが出来たとしても、大切なものを失ってしまうことにもなり兼ねません。

「自己目的化」の例文5

肥満体質を改善するために始めたダイエットだったが、自己目的化する中で、食生活が乱れ、体調が崩れてしまった。

ダイエットは本来、余分な体重を落として、より健康になるために行うものです。

しかし、中には、ダイエットのためのダイエットになってしまって、極度に食事制限をしたりして、不健康になってしまう人もいます。

これでは、むしろダイエットをしない方が良いという話になってしまいますよね。

「自己目的化」の類語

「自己目的化」には以下のような類語があります。

「本末転倒」

「本末転倒」とは、物事の根本的なことと、そうでもないことを取り違えることを意味します。

根本的なことを目的、そうでもないことを手段として考えると、自己目的化と同じように使うことが出来ます。

「手段の目的化」

「手段の目的化」とは、本来の目的以上に手段そのものを目的としてしまう状況を意味します。

「自己目的化」と同じ意味として使うことが出来ますが、「手段の目的化」と言った方が、分かりやすいかもしれませんね。

「軸がぶれる」

「軸がぶれる」は、物事の本質からズレるという意味です。

軸がぶれる状態が、ひどくなると「自己目的化」されてしまうことがあります。

まとめ

「自己目的化」は、ある目的を達成するための手段が、いつの間にか目的にすり替わることを意味しますが、少し分かりづらい表現だと感じる方もいらっしゃるかと思います。

ですから、そういった場合は、「本末転倒」などの類語とセットで覚えておくと良いでしょう。