先日、ニュースで「この国は、約2分に1組の夫婦が袂を分かつほどの離婚大国になっている」と報じられていました。
その時、「袂を分かつ」とは、具体的にどういったことなのか、気になりまして。
そこで、ここでは「袂を分かつ」の意味、語源、例文、類語、そして反対語について解説をしていきます。
「袂を分かつ」の読み方・意味
「袂を分かつ」の読み方は、「たもとをわかつ」です。
「袂を分かつ」には、行動を共にした人と別れる、関係を絶つ、離別する、絶好する、という意味があります。
この慣用句は、人間同士の関係だけでなく、会社同士の関係などで、行動を共にすることが出来ないような時に使われます。
いずれの場合でも、一時的な感情のもつれではなく、気持ちがお互いに完全に離れてしまって、今後、一切の関係を持たないという強い意味合いが含まれます。
ですから、離婚をする場合も、「袂を分かつ」と表現することが出来る訳ですね。
ただ、その一方で「偏見と袂を分かつ」とか「宗教と袂を分かつ」のように、人が絡まず、考え方や思想と決別するような時には使いません。
過去形にご注意
「袂を分かつ」の過去形は、「袂を分かった」だとも言えます。
ただ、「分かった」にしてしまうと、「理解した」と同じ意味だと混乱しやすくなってしまいます。
ですから、そういった時は、「袂を分かつようになった」と表現するのが自然だと言えるでしょう。
「袂を分かつ」の語源
袂とは、和服のそでの下にある袋状の部分を指します。
袂は、元々、手の元を表す「手元(たもと)」が転じて出来た言葉だと言われています。
袂には、魂が宿ると言われていて、女性が好きな男性に対して袂を振ることによって、相手の魂を呼びよせることが出来ると信じられて来ました。
ですから、袂を振ることが、相手に対する愛情表現の表れでもあった訳ですね。
また、「分かつ」とは、古文の単語で、切り離す、別々にする、という意味です。
そこから、袂を分かつことは、関係を絶つことを意味するようになった訳です。
「袂を分かつ」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「袂を分かつ」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 彼女は、長年、指示を仰いで来たコーチと袂を分かつことになった。
- 両者は価値観がまったく違うから、早い段階で袂を分かつことになるだろう。
- 遂に、2つの会社は袂を分かつことを決断した。
- 彼は、優秀な人材であったが、最後は袂を分かつように会社を去った。
- 二人は、再会して意気投合したが、やがて意見がぶつかり合うようになり、袂を分かつことになった。
- 彼は、本当は、所属している事務所と袂を分かちたいと思っていた。
「袂を分かつ」の類語
「袂を分かつ」には以下のような類義語があります。
- 決裂する
- 決別する
- 絶好する
- 破局する
- 離縁する
- 縁を切る
「袂を分かつ」は、人間関係や会社同士の関係など、いろいろなシーンで使える慣用句なので、どの類語に言い換えることが出来るかは、状況によって違って来ます。
「袂を分かつ」の反対語・対義語
「袂を分かつ」の反対語は、「袂を連ねる(つらねる)」です。
「袂を連ねる」には、人と行動を共にするという意味があります。
他にも、
- 相乗りする
- 歩調を合わせる
- タイアップする
- 協調する
- 協力する
などの表現が、あります。
まとめ
「袂を分かつ」とは、行動を共にした人と別れるとい意味ですが、ただ単に、別れる場合は、機会があれば、再会するようなケースも出て来ます。
しかし「袂を分かつ」場合は、関係を完全に断ち切るという意味が含まれるので、より強い表現だと言えます。
ですから「袂を分かつ」と聞いた時は、もう修復が不可能なくらい、関係が悪化してしまったのだと理解すれば良いでしょう。