こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
以前、勤めていた会社が経営難に陥ったことがあったのですが、その時に社長が、「今、我が社の経営は抜き差しならぬ状態にありまして」と 苦虫を噛みつぶしたような顔で話していたことを今でも覚えています。
ただ、その時、会社の状況は深刻なのに、「抜き差しならぬって、随分、古風な言葉を使うんだなあ」と変なところで反応してしまった自分もいました・・・
そこで気になって、この「抜き差しならぬ」という言葉について調べてみたんです。
すると、「確かに、会社の深刻な状況を表すにはピッタリの言葉だな」と、妙に納得してしまいました。
それに、使うときには注意したほうが良い点もいくつかあるようです。
ということで今回は、「抜き差しならぬ」の意味や例文(使い方)についてお伝えしていきますから、ぜひご参照ください。
「抜き差しならぬ」の意味
「抜き差しならぬ」には、身動きがとれない、対処のしようがない、どうしようもできない、のっぴきならないという意味があります。
いわゆる、抜くことも出来なければ差すことも出来ないという状況のことを指すわけですね。
抜き差し出来なかったものとは?
ところで、ここで抜き差しが出来なかったものって何だと思いますか?
それは、刀です!
刀が抜き差し出来ない理由には諸説があります。
- 刀が錆びついてしまって抜き差しが出来ないという説
- 刀を抜いても問題になるし、差しておいたままで問題になる状況であるという説
いずれにせよ、困った事情であることには変わりありませんよね。
「抜き差しならぬ」の使い方・例文
次郎
太郎
という感じで使ったりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 私が妊娠している時に、夫が会社からリストラされ、アルバイトを始めたが収入が激減し、我が家の家計は、抜き差しならぬ状況になってしまった。
- あの会社は、経営者のミスで多額の損失を計上し、今は抜き差しならぬ段階に入ってしまった。
- 会社の上司と10年も不倫関係を続ける中で、私たちは抜き差しならぬ関係になってしまった。
- 彼の優れたリーダーシップのお陰で、そのプロジェクトは抜き差しならぬ状況を見事に打開することに成功した。
- 信頼を侮辱するとは、その人物の名誉を傷つけるだけでなく、人生や生活を抜き差しならない状況に追い込んでしまうことだ。(ジョジョの奇妙な冒険より)
「抜き差しならぬ」の使い方には注意が必要!?
実は、この「抜き差しならぬ」という言葉ですが、使い方には以下の2点で使い方にはちょっと注意が必要です。
必要以上に心配させてしまう時も
「抜き差しならぬ」とは、本当にどうしようもない深刻な状況に陥った時、使う言葉です。
ですから、それほど大変な状況ではないのに、古風な表現でいいなあと思って「抜き差しならぬ」と言ってしまうと、相手は必要以上に深刻に受けてしまう可能性があります。
もちろん、本当ににっちもさっちもいかないような時は、現状をしっかり伝えられるという点で効果的な言葉となります。
人との関係で使う時
よく人間関係で、「私たちは、抜き差しならぬ関係だ」と表現する時があります。
これは、もう取り返しがつかないくらい深い関係を表す時に使いますが、人によっては、卑猥な印象で受けとめられてしまう場合もあります。
もちろん、本来の意味には卑猥な意味は含まれていませんが、言葉のイメージでそのように捉えられてしまう時があるので、下手に使わない方が無難かもしれません。
まとめ
「抜き差しならぬ」とは、ちょっとした困難ではなく、にっちもさっちもいかないような最悪の状況に追い込まれた時、使う言葉です。
ですから、もし、この言葉を使っている人がいたら、「大変なんだなあ」と心中、察して上げて下さいね。