「味を占める(あじをしめる)」の意味・使い方・類語を解説!

以前、鹿がいる公園に行った時「鹿に餌を上げると、味を占めて、人間からの食べ物は何でも食べるようになり、変なものでも食べて病気になるから、餌は上げないで下さい」と言われたんですね。

その時、「味を占める」という慣用句ってやっぱり悪い意味でしか使われないのかなと気になりまして・・・

そこで、今回は「味を占める」の意味、使い方、そして類語について解説をしていきます。

「味を占める」の意味

「味を占める」とは、一度、味わったうまみや面白みを忘れることが出来ず、もう一度同じことを期待することを意味します。

人は、何か良いことを経験すると、同じことが起こってくれることをついつい期待しがちですよね。

しかし、世の中は、そんなに甘くはないですし、最初にうまくいったからといって、次も、うまくいく保証はありません

それでも、同じようなことが起こることを期待てしまう人を揶揄する時に、この慣用句はよく使われます。

「味を占める」の例文・使い方

うちの会社、この間、大ヒットした企画の第二弾をやるみたいだよ。

次郎

太郎

社長も、最初の成功で味を占めたのかな。まあ、いけるうちは、どんどん続ける方が、いいかもしれないよね。

という感じで「味を占める」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 軽い気持ちでギャンブルをやったらビギナーズラックで少し儲かったことに味を占め、ずるずるとハマったら、大損した。
  • ここで妥協をしてしまうと相手は味を占めて、また同じ手を繰り返すはずだ。
  • 映画が大ヒットして味を占めた製作者側は、続編を作りまくった。
  • 夫はカプセルホテルに味を占めたのか、終電に遅れることをまったく気にしなくなって、家に帰らなくなる日が増えた。
  • 彼は、万引きをしても捕まらなかったことに味を占め、何度も繰り返していたが、やはり、最後は捕まってしまった。
  • 彼は歌手だけれども、役者の仕事に味を占めてからは、いくつもの作品に出続けている。

「味を占める」の類語

「味を占める」には、以下のような類語があります。

柳の下の二匹目のドジョウを狙う

「柳の下の二匹目のドジョウを狙う」は、ある人が、柳の下でたまたまドジョウを捕ったのを見て、「柳の下にドジョウがいる」と思い込み、同じ場所にドジョウが来るのを待つことに由来したことわざです。

そこから、一度、成功を収めた人や物ごとに準じて、後釜になろうとしても、再び、同じようにうまくいくとは限らないという意味になりました。

「味を占める」と似たような意味を持ちますが、自分ではなく、他人の成功を真似ようとする点で意味合いが少し異なります。

株を守りて兎を待つ

「株を守りて兎を待つ」とは、古い習慣や過去に偶然、成功した経験にこだわって、いつまでも進歩がなかったり、融通がきかなかったりすることを意味します。

これは、昔、中国の宋の国で、農夫が畑を耕していると、一匹のうさぎが飛び出して、木の株にぶつかって死んだことに味を占めて、うさぎを手に入れるため、毎日、株を見守っていたという話に由来することわざです。

これは、「味を占める」よりも、さらに皮肉るニュアンスを伝える時に使う表現ですね。

気をよくする

「気をよくする」は、物事がうまく行ったり、嬉しいことを人から言われたりしていい気分になることを意味します。

気分がよくなるという点では「味を占める」と同じような意味があります。

ただ、「気をよくする」からといって、必ずしも、同じことを期待するとは限りません

まとめ

「味を占める」は、大した努力もしないのに、たまたま良いことが起こった場合に、同じような良いことが起こるよう期待するケースでは、揶揄する意味で使われることが多いです。

しかし、その一方で、例えば、運動をしてダイエットに成功したら、それに味を占めて、さらに運動をがんばるような時は、良い意味で使われたりもします。

大した努力もせずに良い結果を得られた時は、調子に乗らないよう気を付けないといけません。

ただ、しっかり努力をして成功を得るという体験は、何度も繰り返して、さらに良い結果を得ることが出来れば良いですよね。