先日、仕事が山のように積み上がっていた同僚に「ちょっと仕事手伝おうか?」と聞いたら、「このタイミングで手伝ってくれるなんて、渡りに船だよ。」と大喜びしてくれたんですね。
その時、なぜ、船という表現を使うのか気になりまして・・
そこで、今回は、「渡りに船」の意味、由来、例文、類語、そいて英語での意味についてお伝えしていきます。
「渡りに船」の意味
「渡りに船」とは、必要なものがちょうどよく与えられたり、望ましい状態になったりするという意味です。
このことわざは、困っている時に、タイミングよく助けが来る時にもよく使います。
ただ、別に困っていなくても、都合の良いタイミングで必要なものやチャンスが与えられた時にも使う表現です。
「渡りに船」の由来・語源
では、なぜ困った時に、必要なものが与えられることを「渡りに船」というようになったのでしょうか?
「渡りに船」は、元々、法華経の経典の中に出て来る表現です。
その中で、法華経は、すべての人の願いを叶えるものだということを様々なたとえを使って伝えているのですが、その中に「渡りに船を得たるが如く」という表現が出て来ます。
つまり、元々、「渡りに船」は、仏の教えは、苦しみ悩む人に対して救ってくれるものだということを分かりやすく伝えるために使われていたんですね。
「渡り」とは、川の渡し場、つまり渡し船が発着する場所です。
渡し船は、人や荷物を対岸まで運ぶ船を意味します。
川を渡りたいと思っていたら、渡し船が来たというたとえから「必要なものがちょうどよく与えられた」という意味で、「渡りに船」という言葉が生まれたのです。
「渡りに船」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「渡りに船」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 近所に出来たパソコン教室は、PCスキルをアップさせたいと思っていた自分にとって渡りに船だ。
- 夕食のメニューのアイデアが全然浮かばない時、夫から今晩は外で食事をするという連絡が来て、渡りの船だった。
- 経営が行き詰っていた会社にとって、買収の提案はむしろ渡りに船だった。
- 住み込みの仕事でお金をがっつり稼ぎたいと思っていた彼にとってはマグロ漁師の求人募集は渡りに船のような話だった。
- スーパーでお寿司を買おうと考えていた時に、タイミングよく割引セールが始まったので、渡りに船とばかりにたくさん買った。
「渡りに船」の類語
「渡りに船」には以下のような類語があります。
「渡りに船」を英語で言うと?
「渡りに船」は英語で、
- lifesaver(直訳したら命を救ってくれるもの)
- godsend(直訳したら天のたまもの)
と訳すことが出来ます。
まとめ
船を使ったことわざには、
- 乗りかかった船:いったん関わった以上は途中でやめるわけにはいかないということ
- 呉越同舟(ごえつどうしゅう):敵対する者同士や憎み合う者同士が、同じ場所に居合わせること
- 船頭多くして船山に上る:指図する人が多すぎると、物事はとんでもない方向へ進んでしまうということ
- 南船北馬(なんせんほくば):せわしなく旅をしていること
など、人々の生活と関わりの深い表現がいろいろあります。
「渡りに船」に関しても、昔は、車もなく交通手段は限られていましたから、渡し場に来る船を見たら、本当にうれしかったのでしょうね。
そんな船のありがたみを理解した上で、何かを願っている時や臨んでいる時に、タイミングよく必要なものや環境を与えられたら、是非、「渡りに船」ということわざを使ってみて下さい。