船頭多くして船山に上るの意味・類義語・対義語・使い方を解説!

「船頭多くして船山に上る」の意味

「船頭多くして船山に上る(せんどうおおくしてふねやまにのぼる)」は、指示をする人が多すぎて、統制が取れなくなり、とんでもない方向へ向かってしまうことを意味します。

「船頭(せんどう)」は、和船の船長です。

船頭がたくさんいて、それぞれの船頭が「あっちへいけ」「こっちへいけ」と違った指図をすると、船が川ではなく、山の上に行ってしまうというたとえから来ています。

ちなみに、英語では、“Too may cooks spoil the broth. (料理人の数が多すぎるとスープを台無しにしてしまう”と料理にたとえたことわざがありますが、こちらも同じことを言っています。

実際、プロジェクトを進める際に、リーダー気質の人が何人もいて、それぞれが自己主張をしてしまうと、全然、話が進まなくなることってありますよね。

それよりも、リーダーシップのある人が上に立ち、その人を中心として皆が一致団結する方が、プロジェクトが成功する確率は遥かに高くなると思います。

「船頭多くして船山に上る」の類義語

「船頭多くして船山に上る」には以下のような類義語があります。

やっぱり余計な口出しをする人や、能力のない人が集まると、1+1は2にならず、むしろマイナスになってしまうことを伝える表現ばかりです。

役人多くして事絶えず

役職を持った人が多いと、事務処理が煩雑になって仕事が進まなくなってしまうことを意味します。

天下りや名誉職が多い組織だと、このようになってしまうのかもしれません。

下手の大連れ

役立たずの人が、無駄に人を多く連れていることを意味します。

部下の数が多くても、上司がちゃんと管理出来る人でなければ、かえって仕事がはかどらなくなってしまいますよね。

家を道端に作れば三年成らず

道端に家を作ろうとすると、人の口出しが多くなり、なかなか出来なくなることが由来となったことわざです。

他人の助言をいちいち聞いていると、何事もやり遂げることが出来ないことを意味します。

「船頭多くして船山に上る」の対義語

「船頭多くして船山に上る」の対義語は、「三人寄れば文殊の知恵」です。

「三人寄れば文殊の知恵」は、三人が集まれば一人だと考えられなかったような知恵が出てくるという意味ですね。

この場合は、集まった三人が一つの共通した目標に向かっているので、うまくいくのだと思います。

「船頭多くして船山に上る」の使い方・例文

今回のプロジェクトには専務や部長とか偉い人達が結構絡んでいるから、逆にちょっと心配なんだよなあ~

次郎

太郎

船頭多くして船山に上るにならないよう、うまく調整していく必要があるよね。

という感じで「船頭多くして船山に上る」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 今回のオリンピックは、責任者が多すぎて、「船頭多くして船山に上る」状態となり、予算がひたすらに膨張している。
  • 実力のあるメンバーが集まっている会社では、「船頭多くして船山に上る」とならないよう明確なビジョンやミッションを持つことが大切だ。
  • その会社は、ヘッドハンティングで優秀な人材を集めたが、「船頭多くして船山に上る」となり、逆に混乱をきたしてしまった。

まとめ

「船頭多くして船山に上る」の言葉の中にあるように、船が山にのぼってしまうことは、まずあり得ないですよね。

ただ、このことわざが意味するような「まさか」ということは、世の中のプロジェクトを見ていると、本当によくあることだなあと感じています。

実際、チームを作る際、いたずらに人を集めるのではなく、メンバー同士が各自の役割を自覚して一つの目的に向かって進んでいける体制を作ることは本当に大切なんだと思います。