木偶の坊(でくのぼう)の意味・例文・類語!それって一体何?


先日、子供の国語の教科書を読んでいたら、宮沢賢治の雨ニモマケズという詩があったので、読んでいたのですが、そこで「ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ(みんなに木偶の坊と呼ばれ褒められもせず)」という文言を見つけたんです。

そこで、木偶の坊(でくのぼう)って一体、何だろうか、いろいろ考えてしまったんですね。

ということで、今回は、木偶の坊(でくのぼう)の意味、語源、例文、類義語、対義語、そして英語での表現について解説をしていきます。

木偶の坊(でくのぼう)の意味

木偶の坊(でくのぼう)とは、「役に立たない人」や「気のきかない人」を指す言葉です。

自分の意志で何かをやろうとするのではなく、いつも人の言いなりになってばかりの人を罵っていう時に使います。

また、体がでかいだけで、何の役にも立たない人を指して、木偶の坊と呼ぶ時もあります。

ただ、人に対して、「木偶の坊」と呼ぶことは、かなり失礼な悪口であることに間違いはないので、使い方には、よく気を付けた方が良いです。

下手をしたら、人格を無視しているとか、人権を侵害しているとか言われるかもしれません。

木偶の坊(でくのぼう)の語源・由来

木偶の坊の語源には、二つの説があります。

平安時代の操り人形説

木偶の坊(でくのぼう)とは、元々は、平安時代から伝わる「くぐつ」という木彫りの操り人形から来た言葉だという説があります。

木彫りの操り人形は、感情がなくて、自ら動くことは出来ません

そういった状態から転じて、役に立たない人を木偶の坊と呼ぶようになったと言われています。

手足がない人形説

昔の木の人形である木偶(でく)は、手足のない木の棒のようなものでありました。

そこから、手足を動かさないなまけものの人を指して、木偶の坊と呼ぶにようになったとう説もあります。

ちなみに、木偶の坊の「坊」は、親しみや軽いあざけりの意味を込めながら呼ぶ時に付ける接尾語です。

「木偶の棒」ではありませんので、ご注意下さい。

木偶の坊(でくのぼう)の例文・使い方

今回は、五郎先輩が仕事を手伝ってくれたお陰で本当に助かったなあ。

次郎

太郎

あの人は、普段は、木偶の坊みたいな感じで思われているけれども、実は、縁の下の力持ち的な存在で、すごく頼りになるんだよ。

という感じで「木偶の坊」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 彼は、スタミナをつけるため、まるで木偶の坊のように愚直に走りまくった。
  • あの人は職場では高く評価されているが、木偶の坊のように扱われているらしい。
  • どれだけ体を鍛えても、勝ちたいという強い気持ちがなければ、ただの木偶の坊に過ぎない。
  • 会社で、上司から言われたことしかできない、木偶の坊のような存在になってしまっている。
  • 彼は、体はでかいが、動きが鈍いのでチームメートから木偶の坊だと呼ばれている。
  • あのコーチは、選手を育てる能力がない、ただの木偶の坊だ。

「木偶の坊」の類語

「木偶の坊」には、以下のような類義語があります。

  • 唐変木(とうへんぼく):気が利かず偏屈な人
  • うどの大木(うどのたいぼく):体ばかりが大きくて役に立たない人
  • 大男の殿(おおおとこのしんがり):体ばかりが大きいくせに、いつも人に遅れを取る男
  • ボンクラ:ぼさっとしていて鈍い人
  • 愚か者(おろかもの):愚かな人、頭の回転が鈍い人

いろいろ人を罵る表現が並んでしまいましたが、どれも悪口なので、人に対しては、極力、使わないことをお勧めいたします。

木偶の坊(でくのぼう)の対義語

木偶の坊の反対語としては以下のような表現が該当するでしょう。

  • 切れ者
  • 実力者
  • やり手
  • 凄腕
  • 出来る人

木偶の坊(でくのぼう)を英語で表現すると?

木偶の坊を英語で表現すると、

  • good for nothing
  • useless

と表現することが出来ます。

どちらも、「役に立たない」という英語表現です。

例文を挙げると、

  • He is a good-for-nothing person, so I cannot entrust this work to him.(彼は木偶の坊だから、この仕事は任せられない。)
  • He is a useless person.(彼は木偶の坊だ。)

という感じで使ったりします。

まとめ

木偶の坊は、宮沢賢治の詩で有名な表現ではありますが、日常生活で使うことはあまりないかと思います。

時々、ラーメン屋など、飲食店の名前で「でくのぼう」を使っているのも見かけたりします。

お店の名前では、まったく問題なのですが、人に対して使うと、軽蔑のニュアンスを含む悪口になるので、ご注意下さい。