踵を返す(きびすをかえす)の意味・例文・類語!きびすって何だ!?


こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。

先日、ある登山家の人が「あともう少しでエベレストの頂上でしたが、悪天候が続いたため、やむを得ず、踵を返して下山することにしました」と話しているのを聞きました。

その時、「踵を返す(きびすをかえす)」という言葉が気になったんですね。

きびすって一体、何を意味するんでしょう!?

そこで、今回は、「踵を返す」の意味、語源、例文、そして類語について解説をしていきます。

「踵を返す」の意味と語源

「踵を返す」(読み方は「きびすをかえす」)は、あともどりをする、引き返すという意味です。

踵は、一般的には「かかと」と呼ぶことが多いですが、ここでは「きびす」と呼びます。

「きびす」は、元々、「くひびす」とか「くびひす」と呼ばれていたのが、「くびす」「きひびす」と変化し、最終的には西日本の方言として「きびす」という呼び方が定着したと言われています。

「踵を返す」とは、かかとを反転させる、即ち向きを変えるということから、後戻りをするという意味になった訳ですね。

「踵を返す」の例文・使い方

この間、お店でちょっと安くしてもらえないかとお願いしても全然応じてくれなかったんだけど、「じゃあ、いらないです」と言って帰ろうとしたら、いきなり「500円引きでどうですか?」と言われたんだよね。

次郎

太郎

踵を返すと相手の態度が変わる時ってあるよね。押してダメだなら引いてみるのも一つの手だと思うよ。

という感じで「踵を返す」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 街で別れた彼女を偶然見かけたが、彼女は私の顔を見るやいなや、踵を返して立ち去ってしまった。
  • 今まで急騰していた株価だったが、政治情勢の変化で、踵を返して急落した。
  • 家を出た後、忘れ物をしたことに気が付いたので、踵を返して家に戻った。

「踵を返す」の類語

「踵を返す」の類語には、以下のような表現があります。

  • 回れ右して戻る
  • トンボ返りする
  • 後戻りをする

「手のひらを返す」との違いは?

「踵を返す」と似たような言葉として「手のひらを返す」というものがあります。

「手のひらを返す」は急に態度を変えるという意味です。

その一方で、「踵を返す」は向きを変える動作を表す意味であり、態度を変えるという意味では使いません

時々、「踵を返す」を態度を変えるという意味で使うケースもありますが、厳密に言えば誤用なのでご注意下さい。

まとめ

「きびすをかえす」と聞くと、意味がよく分からない人も多いかもしれませんが、「きびす=かかと」だと聞けば、すぐにどんな意味であるか、お分かり頂けるかと思います。

また、「踵を返す」時は、態度も変わっている時も多いですが、「踵を返す」という慣用句自体は、向きを変えるという動作を表す言葉なので、態度を変える言葉として混同しないように気を付けましょう。