こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
先日、ある登山家の人が「あともう少しでエベレストの頂上でしたが、悪天候が続いたため、やむを得ず、踵を返して下山することにしました」と話しているのを聞きました。
その時、「踵を返す(きびすをかえす)」という言葉が気になったんですね。
きびすって一体、何を意味するんでしょう!?
そこで、今回は、「踵を返す」の意味、語源、例文、そして類語について解説をしていきます。
「踵を返す」の意味と語源
「踵を返す」(読み方は「きびすをかえす」)は、あともどりをする、引き返すという意味です。
踵は、一般的には「かかと」と呼ぶことが多いですが、ここでは「きびす」と呼びます。
「きびす」は、元々、「くひびす」とか「くびひす」と呼ばれていたのが、「くびす」「きひびす」と変化し、最終的には西日本の方言として「きびす」という呼び方が定着したと言われています。
「踵を返す」とは、かかとを反転させる、即ち向きを変えるということから、後戻りをするという意味になった訳ですね。
「踵を返す」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「踵を返す」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 街で別れた彼女を偶然見かけたが、彼女は私の顔を見るやいなや、踵を返して立ち去ってしまった。
- 今まで急騰していた株価だったが、政治情勢の変化で、踵を返して急落した。
- 家を出た後、忘れ物をしたことに気が付いたので、踵を返して家に戻った。
「踵を返す」の類語
「踵を返す」の類語には、以下のような表現があります。
- 回れ右して戻る
- トンボ返りする
- 後戻りをする
「手のひらを返す」との違いは?
「踵を返す」と似たような言葉として「手のひらを返す」というものがあります。
「手のひらを返す」は急に態度を変えるという意味です。
その一方で、「踵を返す」は向きを変える動作を表す意味であり、態度を変えるという意味では使いません。
時々、「踵を返す」を態度を変えるという意味で使うケースもありますが、厳密に言えば誤用なのでご注意下さい。
まとめ
「きびすをかえす」と聞くと、意味がよく分からない人も多いかもしれませんが、「きびす=かかと」だと聞けば、すぐにどんな意味であるか、お分かり頂けるかと思います。
また、「踵を返す」時は、態度も変わっている時も多いですが、「踵を返す」という慣用句自体は、向きを変えるという動作を表す言葉なので、態度を変える言葉として混同しないように気を付けましょう。