こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
この間、ある会合で相手が話すことに「そうですねえ。そうですねえ。」と一生懸命頷いていたら、「張子の虎みたいに頷いてばかりじゃなくて、何か意見を言って下さい」と言われてしまったんですね。
その時、「張子の虎」の首をカタカタ振るイメージが頭に浮かび、「あれっ、自分はそんなに滑稽な感じだったのかなあ」と思ってしまいました。
ということで、今回は、「張子の虎」の意味、由来、そして例文について解説をしていきます。
「張子の虎」のことわざとしての意味
「張子の虎」は、ことわざとして使う場合、
- 首を振る癖のある人
- 人の言うことにただ頷いている人
- 弱いくせに虚勢を張っている人
というような意味があります。
「張子の虎」の語源・由来
「張子の虎」とは、首だけが動くように作った虎の張り子の玩具です。
張子の虎は、元々、中国の虎王崇拝が日本に伝わって、全国各地で作られるようになったのものです。
特に、香川県三豊市の張子の虎は、有名ですよね。
張子の虎は、虎の武勇にちなんで、子供の健やかな成長を願う縁起物として、端午の節句などで愛用されて来ました。
また、虎は神の使いとも言われていたので、魔除け・厄除けとしても重宝されています。
そんな「張子の虎」は、首だけが動く様子から、「首を振る癖をある人」のことを指すようになりました。
さらに、「張子の虎」は見かけは虎ですが、中は空洞で空っぽという性質から、見かけ倒しの人を指して言うようにもなったのです。
「張子の虎」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「張子の虎」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 会議では、張子の虎のように頷くだけでなく自分の意見もしっかり言わないとダメだ。
- 彼女は、何を言っても首を縦に振るだけの張子の虎のような彼に物足りなさを感じていた。
- いくら素晴らしいことを言っても、実績がなければ、所詮、張子の虎に過ぎない。
- あの国は強大な軍隊があるように見えるけれども、兵士一人一人の士気は低い張子の虎なんだ。
例文を見ると分かるように、「張子の虎」は、最初の2つの例文のように、主体性のない人を指す時か、後半の2つの例文のように見掛け倒しの人を指す時かのいずれかで使われる時が多いです。
「張子の虎」の類語
「張子の虎」の類語には以下のようなものがあります。
- 見かけ倒し
- 張りぼて
- ハリボテ
- 羊頭狗肉(ようとうくにく):羊の頭を看板にかけながら実際は犬の肉を売ることから、見かけに実質が伴わないという意味
(類語では、能力がないけれども、中身がない人という意味での表現をご紹介しています。)
まとめ
張子の虎は、ことわざとして使われる場合は、「首を縦に振るだけの主体性のない人」とか「威張ってばかりので中身のない人」と皮肉っぽく表現されることが多いです。
しかし、張子の虎は、元々、縁起物として重宝されているもの。
実際の扱われ方と、ことわざでの使われ方には、かなりギャップがあるので、虎さんにとっては、ちょっと残念な話ではありますが・・・
ただ、実際の生活では、張子の虎だと呼ばれないようにがんばらないといけないですよね。