「瓜田に履を納れず」の意味・例文・類語を分かりやすく解説!

先日、不正の疑惑を追及されている政治家を見て、友達が「政治家は、瓜田に履を納れずで、疑われることは、一切してはいけないから大変だな。」と話していたんですね。

その時、「瓜田に履を納れず」という故事成語がちょっと難しく感じまして・・・

そこで、今回は、「瓜田に履を納れず」の意味、例文、そして類語について分かりやすく解説をしていきます。

「瓜田に履を納れず」の意味

「瓜田に履を納れず」とは、「人に疑われるようなことはしてはいけない」という意味です。

この故事成語の読み方は「かでんにくつをいれず」です。

人は、決して悪いことをしている訳ではないのに、ちょっとした言動がきっかけで、誤解を受けて疑われてしまう時があります。

特に、政治家や芸能人など、周りの人達からたくさんの注目を集めている人ほど、そういった状況に陥る可能性は高いですよね。

ですから、事前にそういった危険を察知して、人から疑われるようなことは避けるべきだと戒める時に、この故事成語を使います。

「瓜田に履を納れず」の由来

「瓜田に履を納れず」ということわざの出典は、中国南北朝時代の詩文集、文選の中にある「古楽府・君子行」です。

その中に「瓜畑で、履(くつ)が脱げても、瓜を盗むのではと、疑われるので、かがんで履き直すな。」という意味の漢詩があります。

元々は、斉の国の虞姫(ぐき)という女性が、当時の王であった威王に対して、王様は、大きな問題が起こらないよう、他人から疑いを受けるようなことをしてはいけないと諭すために言った言葉です。

また、その漢詩の中では、次に「李(すもも)の木の下で冠をきちんと直したら、李を取るかもと疑われるので、冠を正すな」という詩が続きます。

ですから、「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」というように二つの故事成語を対句で使うことも多いです。

また、両方のことわざを合わせて、「李下瓜田(りかかでん)」という四字熟語で表現する時もあります。

「瓜田に履を納れず」の例文・使い方

最近は、満員電車に乗っていると、女性から痴漢だと勘違いされるんじゃないかと思って、ビクビクしちゃうよ。

次郎

太郎

その気持ち、分かるなあ。僕は、痴漢の冤罪を受けるのは絶対イヤだから、「瓜田に履を納れず」で、電車の中では両手で吊革をしっかり掴むようにしているよ。

という感じで「瓜田に履を納れず」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 政治家は、瓜田に履を納れずとも言うように、企業の社長と会うような時は、社会の人達から怪しまれることがないよう、注意しないといけない。
  • その有名人は、誰かと握手して写真を撮ると、悪用される可能性があるので、瓜田に履を納れずということで、個人的な撮影はすべて断るようにしている。
  • 先生は、「瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず」で、親御さんから、お中元やお歳暮を一切受け取ってはいけない。
  • 芸能人は、ちょっとしたことで誤解を招き、スキャンダルが起きる可能性があるので、「瓜田に履を納れず」で言動には、細心の注意を払うべきである。/li>
  • ここで写真を撮るとスパイだと疑われる可能性があるから、「瓜田に履を納れず」で絶対に写真を撮ったらいけないよ。

「瓜田に履を納れず」の類語

「瓜田に履を納れず」には、以下のような類義語があります。

  • 李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)
  • 李下瓜田(りかかでん)
  • 触らぬ神に祟りなし

また、他にも、類似した表現として、「君子危うきに近寄らず」ということわざがあります。

ただ、こちらは、教養や徳がある人は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないという意味なので、「瓜田に履を納れず」とは、若干、意味合いが違います。

「瓜田に履を納れず」は、教養があるかどうかは関係ないですし、気を付けないといけないことは、危険なところというよりは、疑われることだからです。

君子危うきに近寄らずの意味・例文・類語・反対のことわざを徹底解説

まとめ

私達は、普段の生活の中で、悪いことは、もちろんしてはいけませんが、もし可能であれば、悪いことをしていると疑われるようなことも避けるのが無難です。

特に、周りから注目を集めやすい人は、「瓜田に履を納れず」で、普段から、危機管理能力を高めておくことが大切なのかもしれませんね。