先日、友達と街を歩いていたら、変な人を見かけたのですが、その時、友人が「君子危うきに近寄らずだから、こういう時は下手に目を合わさない方がいいよ。」と言っていたんですね。
その時、「君子危うきに近寄らず」ということわざがいろいろ気になりまして・・・
そこで、今回は、「君子危うきに近寄らず」の意味、由来、例文、類語、そして反対のことわざについて解説をしていきます。
目次
「君子危うきに近寄らず」の意味
「君子危うきに近寄らず」とは、教養や徳があるものは、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないという意味です。
ここでの「君子」とは、中国で用いられた理想的な人格者を意味します。
実際、事件や事故に巻き込まれる人の多くは、自ら危険なところに行っているケースが多いものです。
ですから、賢い人は、危ないところに行くと、どうなるかを事前に察知して下手な行動をしないよつ伝えたい時によく使います。
「君子危うきに近寄らず」の由来・出典
「君子」と言えば、中国の孔子が、君子に道などについて説いたりしているので、孔子の話が由来ではないかと思う人もいますが、そうではありません。
厳密な出典は明らかになっていませんが、中国の五経の一つ「春秋」の注釈書である「春秋公羊伝(しゅんじゅうくようでん)」に「君子不近刑人」という漢文の一節があります。
これは、「君子は刑人に近づかず」という意味で、これが「君子危うきに近寄らず」の由来になったのではないかと言われています。
「君子危うきに近寄らず」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「君子危うきに近寄らず」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 車で街を走っていると、怪しい車を見かける時があるが、そういった時は、「君子危うきに近寄らず」で下手に近づかない方が良い。
- 台風で川の水かさが増している時は、「君子危うきに近寄らず」で絶対に川に近づいてはいけない。
- 友達から、マルチ商法の紹介を受けたが、「君子危うきに近寄らず」で、そういうのは絶対にやらないことにしている。
- 外務省が注意喚起を行っている国へは、「君子危うきに近寄らず」で絶対に行かない方が良い。
- どんなにお金に困っても「君子危うきに近寄らず」でサラ金には絶対に手を出してはいけない。
「君子危うきに近寄らず」の類語
「君子危うきに近寄らず」には以下のような類語があります。
「触らぬ神に祟りなし」
「触らぬ神に祟りなし」とは、物事に関わらなければ余計な災いに巻き込まれる心配はないという意味です。
関わってはいけないことが、危うきものではなく“神”と表現している点が違いますが、基本的な意味は同じです。
触らぬ神に祟りなしの意味・例文!職場の人間関係でどう生かす?「李下に冠を正さず」
「李下に冠を正さず(りかにかんむりをたださず)」には、スモモの木の下で冠をただすと、実を盗むのではないかと疑われるというたとえから、人から疑いをかけられるような行いは避けるべきだという意味があります。
「君子危うきに近寄らず」は、近づくことを戒めているに対して、「李下に冠を正さず」は、紛らわしい行動を戒めています。
「李下瓜田」
「李下瓜田(りかかでん)」とは、すももの木の下で冠をただそうとしたり、瓜の畑で靴を履き直そうとしたりすると、それらを盗むのではないかと疑われてしまうことから、人から疑われることはしない方が良いという意味です。
「君子危うきに近寄らず」を四字熟語で表すのであれば、「李下瓜田」が該当すると言えます。
「君子危うきに近寄らず」の反対のことわざ
「君子危うきに近寄らず」の反対のことわざと言えば、やはり「虎穴に入らずんば虎子を得ず」です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」には、危険な虎の穴に入らなければ虎の子を得ることは出来ないというたとえから、リスクを冒さなければ大きな成功は得られないという意味があります。
例えば、戦場カメラマンなどがその典型と言えるでしょう。
普通の人は、「君子危うきに近寄らず」といって近づかない危険な地域に「虎穴に入らずんば虎子を得ず」といって、より希少性の高い写真を撮るために入っていく人は多いですので。
「君子危うきに近寄らず」を座右の銘にする人も
「君子危うきに近寄らず」ということわざは、ある意味、すごく当たっていると思います。
ですから、このことわざを座右の銘のように使っている人もいます。
もちろん、大胆な性格の人は、「そんなこと言っていたら、リスクを取れないから、成功が遠ざかってしまうよ。」と臆病者呼ばわりをされるかもしれません。
ただ、慎重な性格の人は、下手に無理をしないのに越したことはありませんから「君子危うきに近寄らず」やり方を貫き通した方がいいのかなと思います。
人にはその性格に合った生き方というものがありますので。