以前、ある政治家が秘書の男性に対して罵声を浴びせた音声が公開されていた時のことです。
ある人がネットで「怒り心頭に発する様子が目に浮かぶようだ」とコメントしていたんですね。
その時、あれっ、「怒り心頭に発する」じゃなくて、「怒り心頭に達する」じゃなかったっけ?と思ったのですが・・・
ここでは、「怒り心頭に発する」の意味、例文、そして類語について解説をしていきます。
「怒り心頭に発する」の意味
「怒り心頭に発する(いかりしんとうにはっする)」とは、激しく怒るという意味です。
「心頭」は、あまり馴染みがない言葉からもしれませんが、心の中という意味です。
ですから、「怒り心頭に発する」を分かりやすく表現すれば、「怒りが心の中からこみあげる」という意味になります。
「怒り心頭に」に続く言葉は「達する」じゃないの?
ただ、「怒り心頭」という言葉を聞いて、その後に続く言葉は、「達する」じゃないかと思う方もいらっしゃるかと思います。
それもそのはず・・・
文化庁が発表した平成24年度「国語に関する世論調査」の結果の概要では、「激しく怒ること」の意味を選択肢から選ぶ質問に対して、
- 怒り心頭に達する:67.1%
- 怒り心頭に発する:23.6%
- 両方とも使う:1.3%
- どちらも使わない:5.0%
- 分からない:3.0%
という結果が出ているからです。
ですから「達する」と思った人は多数派なのですが・・・
残念ながら、「怒り心頭に達する」は誤用です。
また、「怒り心頭に発する」の「発する」の読み方を「ほっする」と勘違いする人もいますが、正しくは、「はっする」なので、二重の間違いをしないよう気を付けて下さいね。
「怒り心頭に発する」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「怒り心頭に発する」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- へとへとになっている時に、子供が夜なかなか寝てくれないと、怒り心頭に発することもある。
- 夫の浮気の証拠を発見した妻は怒り心頭に発した。
- リストラ対象の社員が、怒り心頭に発することがないよう、社長は出来る限りの退職金を払うことを決断した。
「怒り心頭に発する」の類語
「怒り心頭に発する」の類語には以下のようなものがあります。
怒りの表現っていろいろありますよね・・・
まとめ
「怒り心頭に発する」は、激しい怒りを感じた時に使う言葉ですが、「達する」と使う人の方が多いので、違和感を覚える人も少なくないかもしれませんね。
実際、たくさんの人が使うことを通じて、そちらの方が正しい使い方になってしまう言葉もあったりします。
ただ、「怒り心頭に、」に続く言葉は、「達する」ではなく「発する」なので、誤用にはくれぐれもお気を付け下さい。
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