こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
先日、テレビで、「A社が子会社を売却することにより通信事業から手を引くことになりました。」という報道がされていました。
やっぱり、ビジネスの世界は、引き際が大切だなあと思ったのですが、その時、「手を引く」という言葉が気になりました。
「手を引く」って似たような言葉がいろいろありますからね。
ということで、今回は、「手を引く」の意味、例文、そして類語についてお伝えしていきます。
目次
「手を引く」の意味
「手を引く」には、文字通りの意味と慣用句としての意味があります。
- 手を取って導くこと(文字通りの意味)
- 続いて来た関係を絶ち切って退くこと(慣用句としての意味)
1番目の「手を引く」は、手を引っ張ることを意味しますが、2番目の「手を引く」は手を放すという意味なので「引く」の概念も異なります。
「手を引く」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「手を引く」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 母親は泣いて嫌がる子供の手を引いて歯医者に向かった。
- 「こっちへ来て」と言いながら、孫が祖母の手を引く姿が微笑ましかった。
- 人気選手の争奪戦が激しくなり、移籍金が暴騰してきたので、獲得を諦め、手を引く決断をした。
- 好きな女性に何度か告白したが、その度に断られて脈なしであることが分かったので、手を引くことにした。
- ビジネスの世界では、手を引くタイミングを間違えると泥沼にハマってしまう。
- 最初は、そのイベントに積極的に携わって来たが、利害関係がややこしくなってきたので、そろそろ手を引くのが良さそうだ。
「手を引く」の類語と違いについて
「手を引く」の類語は、2つの意味のどちらであるかに応じて変わります。
導く意味での「手を引く」の類語
- 導く
- 連れていく
- 先導する
退く意味での「手を引く」の類語
- 退く
- 諦める
- 見限る
- 匙を投げる
- 踏ん切りをつける
- 清算する
- 見切る
- 投げ出す
- リタイアする
「手を引く」と似た慣用句との違い
「手を引く」には、表現が似た慣用句がありますが、具体的な違いについてお伝えしていきます。
「身を引く」との違い
「身を引く」とは、これまでの地位や立場から退くという意味です。
「手を引く」と非常によく似た言葉ですが、以下のような違いがあります。
- 「手を引く」:関係を絶ち切って退く
- 「身を引く」:それまで置かれていた立場から退く
つまり、それまで置かれていた状況によって、どちらの表現を使うべきかが決まります。
例文を使って説明すると、ビジネスの世界で企業が特定の事業から撤退する場合は、その事業との関係を絶つので「身を引く」ではなく「手を引く」です。
その一方で、政治の世界から引退する場合は、政治家の立場から退くことになるので「政界から手を引く」ではなく「政界から身を引く」となります。
「足を洗う」
「足を洗う」は、悪い行いをやめたり、悪い仲間から離れたりする時に使う言葉いです。
仕事をやめる時にも「足を洗う」という表現を使いますが、そこでの仕事は、やくざなど一般的に悪いと言われている仕事です。
まとめ
「手を引く」は、文字通り手を引く場合にも使われますが、それまでの関係を絶ち切って退くという慣用句として使われることも多いです。
慣用句の意味としての「手を引く」は、後ろ向きなイメージがありますが、それでもビジネスの世界では、深入りをし過ぎて、損失を増やす前に手を引いた方が良い時もあります。
また、恋愛においても、手を引くと逆に関心を持ってくれなかった相手が気になってしまうという現象が起こる時もあるものです。
引き際のタイミングとは、非常に大切なので、うまく「手を引く」ことを覚えていければいいですよね。