私の友人が、あるドキュメンタリー番組を観た後、「この人の生涯を見ていると、身につまされるものがあるなあ。」と話していたんですね。
その時、「身につまされる」ってどれくらい深刻な気持ちなのかなあと考えてしまいまして・・・
そこで、今回は、「身につまされる」の意味、例文、類語、そして英語での表現について解説をしていきます。
目次
「身につまされる」の意味
「身につまされる」とは、他人の不幸が自分のことのように辛く感じられてしまうことを意味します。
「つまさされる」には、「自分の身にひきくらべて同情や哀切の念が起こる」という意味があります。
「身につまされる」は、誰かの不幸に対して、同情や共感の気持ちを表現する時に使われる慣用句です。
「身につまされる」は、時々、「身につままれる」と表現されたりするので、ご注意下さい。
恐らく、「狐につままれる」(意外ななりゆきに訳が分からなくなり、茫然とする)の「つままれる」と混同しているのだと思います。
「身につまされる」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「身につまされる」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
「身につまされる」の例文1
「彼は罪を犯してしまったけれども、彼が置かれて来た境遇を考えると、身につまらされて同情の気持ちが湧いて来てしまう。」
犯罪に手を染めてしまうことは、絶対にいけないことです。
ただ、犯人がなぜそのような行為に走ってしまったのか、事情をいろいろ知ってみると、他人事ではないような気持ちになってしまうことがあったりします。
「身につまされる」の例文2
「彼女の職場での苦労話を聞くと身につまらされる思いになった。」
仕事をしている人に職場での悩みはつきものです。
人間関係の悩みやノルマのプレッシャー、そしてリストラの恐怖など、聞けば聞くほど、身につまらせる思いになってりします。
「身につまされる」の例文3
「被災した方のお話は聞けば聞くほど、我が身につまされる思いになる。」
台風や地震などで、それまでの日常生活が失われてしまう方の話を聞くと、本当に胸が切なくなるものですね。
特に、日本は、同じような災害がいつ自分の身に降りかかってくるか分からないので、身につまらせる人は多くなるのだと思います。
「身につまされる」の類語
「身につまされる」は以下のような似た言葉と言い換えることも可能です。
「人事とは思えない」
「人事とは思えない」は、自分のことであるかのように辛く感じられることを意味します。
「身につまされる」と同じような意味で使えますが「人事とは思えない」は、やがては自分の身にも降りかかってしまうかもしれないというニュアンスがもっと強くなります。
「見るに忍びない」
「見るに忍びない」とは、あまりに気の毒であったり、ひどい状態であったりするので、見ているのが非常に辛いことを意味します。
この慣用句は、「身につまされる」と同じように同情する時にも使いますが、あまりにひどくてあきれた時にも使います。
「身につまされる」を英語では何と言う?
「身につまされる」は、英語では、“to sympathize deeply with”と表現することが出来ます。
“sympathize”は、「同情する」という意味です。
例文は以下のような感じです。
- I sympathize deeply with the families of the victims.(犠牲になった家族を思うと身につまされる)
- He deeply sympathized with her in her sorrow at your son’s death.(彼は息子に先立たれた彼女の悲しみを思い、身につまされた)
まとめ
「身につまされる」は誰かの不幸に対して、同情したり、共感したりする時に使う慣用句です。
ただ、少しドライな言い方をしてしまうと、身につまされる気持ちは、ものすごく深いという訳ではなく、また、ずるずる引きずるものでもなく、その場限りの気持ちで終わってしまうことが多いです。
逆に、身につまされる気持ちをズルズル引きずってしまうと、精神的に落ち込むばかりで、辛くなってしまうので、良い意味でも、気持ちは切り替えた方が良いと言えるかもしれません。