先日、ニュースを観ていたら、あるスポーツ選手が「ライバルたちに負ける気持ちは毛頭ないです。」と言っていたんですね。
その時、「毛頭ない」ってもしかして、ハゲであることが由来となって出来た言葉なのかと思ったのですが、実は、違ったみたいでして・・・
そこで、ここでは「毛頭ない」の意味、語源、例文、そして類語について解説をしていきます。
「毛頭ない」の意味
「毛頭ない(読み方は“もうとうない”)」は、まったくない、少しもない、という意味です。
また、この表現は、気持ちや意志がないというニュアンスで使います。
ですから、「チャンスが毛頭ない」とか「苦味が毛頭ない」というように、気持ちや意志と関係ない場合には使いません。
「毛頭ない」の語源
「毛頭ない」の毛頭は、ここでは、髪の毛の先っぽを指します。
髪の毛の先端は、髪の中では、一番、薄くなっている、僅かな部分です。
そういった毛頭のような僅かなものすらないということをたとえて、まったくないという意味で使われるようになりました。
よく「毛頭ない」とは、ハゲのことを指すのではと思う方も多いですが、決して髪の毛がまったくないことを意味している訳ではありません。
もし、敢えて、ハゲの状態を表すのであれば、「毛根もない」とか「毛乳頭もない」みたいな表現になるのかもしれません。
ただ、もちろん、このような表現は存在しません。
「毛頭ない」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「毛頭ない」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 自分は何も悪いことはしていないのだから、謝罪する気など毛頭ない。
- たとえ、当日に雨が降っても、台風が来てもコンサートを中止する気は毛頭ない。
- 昨年は、素晴らしい記録を残したが、現状に甘える気持ちは毛頭ない。
- 今は、独立を目指しているので、休日だからといって、ゆったり休む気持ちは毛頭ない。
- この会社を辞めるつもりは毛頭ないが、今の会社の人間関係では、正直、相当悩んでいる。
- 主役の座を譲る気持ちは毛頭ない。
「毛頭ない」の類語
「毛頭ない」の類語はいろいろありますが、
- 全然ない
- まったくない
というように、普通に表現する時もあれば、
- さらさらない
- 毛ほどもない
- 万に一つもない
- 微塵もない
- これっぽっちもない
というように、前半の言葉を打つ消すことによって、より強い否定のニュアンスを表現するパターンもあります。
「毛頭ない」も後者に属する表現ですよね。
まとめ
「毛頭ない」には、“毛”という表現が入っているので、「毛がない、つまりハゲであることを暗に示しているのではないか」と髪の毛の薄い人の前では言いづらいと思っている人もいらっしゃるのではないでしょう?
ただ、実際のところ、「毛頭ない」はハゲと一切関係ありませんので、遠慮せずに使って大丈夫です。
もし、髪の毛のない方から、「お前、バカにしているのか?」と突っ込まれたら、「いえ、そんな気持ちは毛頭ありません。なぜかというと・・・」と言いながら「毛頭ない」の語源についてお伝えしてみて下さい。