先日、いつもお世話になっている牛丼屋さんに言ったら「空前絶後の最強メニュー」というのを販売していたんですね。
そう言えば、「空前絶後の~」と叫んだ話題になった芸人さんもいたから、この言葉は流行っているのかなあと思いつつ、でも、使い方って合っているのかなと思いまして・・・
ということで、今回は、「空前絶後」の意味、例文、そして類語についてお伝えしていきます。
「空前絶後」の意味
「空前絶後」とは、今までに例がなく、これからもあり得ないという意味です。
空前は「前に空しく」ということで、今までに例がないことを表し、絶後は「後は絶えて」ということなので、過去になかっただけでなく、将来こんなことは二度とあるまいと表現したい時に使う四字熟語です。
「空前絶後」の由来
空前絶後という四字熟語は、中国の北宋の第8代皇帝であった徽宗(きそう)が自ら収集した絵画を鑑定して整理した著録「宣和画譜(せんながふ)」にある「顾冠于前,张绝于后,而道子乃兼有之」というくだりが由来だと言われています。
このくだりは、「顧は前に冠たり、張は後を絶つ、而して道子は兼ねて之を有す」となりますが、ここでは三人の画家を評価していて、
- “顧”顧愷之(こがいし)の画は、前人を越えることを成し遂げ(空前)
- “張”張僧繇(ちょうそうよう)の画は、後の人が追い付けないことを成し遂げ(絶後)
- “道子”吴道子(ごどうし)の画は、二人の長所を兼ね備えている
と述べています。
空前絶後という表現そのものが出て来ている訳ではないのですが、概念的には、これが由来だと言われている訳ですね。
「空前絶後」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「空前絶後」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 今回の株の暴落は、空前絶後だと言われた過去のあの大暴落を超えるものだった。
- プロ野球での400勝という記録は、空前絶後の記録であり、今後、破られることはまずないであろう。
- それまでマイナーだと言われれていたその競技は、日本で初めて国際大会が行われたことによって空前絶後の盛り上がりを見せた。
- 大統領の大胆な政策は空前絶後の好景気をもたらした。
- そのサッカーチームは、400億円という空前絶後の移籍金を支払って超一流の選手を獲得した。
- プロ野球選手が出たということで、小さな町に多くの人々が殺到し、空前絶後の盛り上がりを見せた。
「空前絶後」の類語
「空前絶後」には以下のような類語があります。
「空前絶後」の類語は、大きく分けると2つのパターンがあります。
- 過去に一度もなかったこと
- 過去にもなかったし、これからもあり得ないこと
最近の異常気象は、年々、異常さが増している感があるので、過去になかった規模の台風や猛暑が来ても、翌年にはまたその記録が塗り替えられる可能性がありますよね。
ですから、そういった時は、空前絶後という表現は使いづらいところがあります。
その一方で、スポーツの世界で、圧倒的な記録を打ち立てて、過去になかっただけでなく、これからも破られることは決してないだろうという時は、空前絶後という言葉が、適切だということになります。
まとめ
空前絶後という言葉は、お笑い芸人の方が、ネタとして使ったことをきっかけに大ブレークして、そこから、使われる機会が増えた言葉かもしれませんね。
ただ、言葉の意味にこだわってしまう私としては、「空前絶後の美味しさ」とか「空前絶後のイベント」など、結構、簡単に「空前絶後」という表現が使われると、「本当にその使い方で大丈夫?」と疑いの気持ちで見てしまいます(笑)
しかし、それでも空前絶後の素晴らしいものを作ろうとする気概は素晴らしいことですし、これから良い意味で空前絶後のものが生まれていけばいいかなと思っています。