猪突猛進の意味・使い方・類語・対義語!いい意味で使われることはある?


先日、私の友達が恋愛している別の友人に対して、「あいつは、恋愛に夢中になると周りが見えなくなる猪突猛進タイプだからなあ・・・」と言っていたんですね。

その時、「猪突猛進」っていい言い意味で使われることってあるのかなと、ふと考えまして。

そこで、今回は、猪突猛進の意味、由来、使い方、類語、対義語について解説をしていきます。

「猪突猛進」の読み方

「猪突猛進」の読み方は「ちょとつもうしん」です。

特に「猪」の漢字が読みづらいかもしれませんし、なかには、「しょとつ」と間違って読んでしまう方もいらっしゃいます。

ただ、猪八戒(ちょはっかい)と「猪」と同じ読み方だと分かれば、読みやすくなるかもしれませんね。

「猪突猛進」の意味

「猪突猛進」とは、目標に対して、向こう見ずに突き進むことを意味します。

「猪突」は、猪が真っすぐ突き進むこと、そして「猛進」は激しい勢いで進むことを意味します。

この慣用句の中に含まれるのは、「何も考えない」というニュアンスです。

そのため、「猪突猛進」は、いい意味では、ほとんど使われません

何も考えずに突き進むと、計画を立てていない分、失敗をしたり、周りの人に迷惑を掛けたりしてしまうリスクが高まってしまうからです。

猪突猛進な性格の人は、基本的に、他人の意見に耳を傾けないので、そういった点でも、あまりよく思われないことが多いです。

「猪突猛進」がいい意味で使われる時とは?

悪い意味で使われる「猪突猛進」ですが、場合によっては、いい意味で使われることがあります。

それは、行動することの大切さを説く時です。

人は、いろいろ考えてしまって、何も行動が出来なくなってしまう時があります。

しかし、行動をしなければ、そこから良い結果を生み出すことは極めて難しいでしょう

ですから、考え過ぎて何も行動出来なくなってしまうよりは、余計なことは何も考えず、猪突猛進で行くことも時には大切だと言いたい時は、良い意味で使えます。

もちろん、そこで何か戦略を立ててから行動することに越したことはないのでしょうけどね。

「猪突猛進」の由来

「猪突猛進」の由来は、「猪突」と「猛進」が合わさって出来た言葉だと言われており、それぞれ以下のような由来があると言われています。

  • 猪突:中国の前漢の時代に囚人を集めて作った軍隊、猪突豨勇((ちょとつきゆう)に由来
  • 猛進:大乗仏教の経典、無量寿経(むりょうじゅきょう)に出て来る「勇して志願倦むことなし」に由来

また、この慣用句は、猪が目的に向かってわき目もふらずに突進している様子から来た表現でもあります。

猪は、運動神経がよく、時速45kmのスピードで走ることが出来ます。

ですから、人間が猪に突進されたら、まず逃げるのは難しいでしょう。

猪の突進力には、それだけの勢いと破壊力があるのです。

「猪突猛進」の例文・使い方

あの企業は、最近、どうも伸び悩んでいるね。どうしちゃったのかな。

次郎

太郎

その企業は、今まで猪突猛進でひたすらがんばって来たからね。でも、これからは、他社と差別化をして戦略を立てないと難しいんじゃないかな。

という感じで「猪突猛進」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 猪突猛進になりがちな人は、浪費してしまう傾向があるので、使うお金の上限を決めておいた方が良い。
  • 営業は、猪突猛進でいきあたりばったりのやり方をするとうまくいかないので、改善をする必要がある。
  • 彼は、恋愛で「この人だ」と思った人に対して、猪突猛進で突き進んでしまう性格だ。
  • なりふり構わず猪突猛進するタイプでも成功出来ればそれで良いのではないだろうか?
  • 彼女は、冷静に見えて、何かをやり始めると猪突猛進で突き進んで周りが見えなくなってしまうところがある。
  • 君は、まだ若いのだから、猪突猛進するぐらいの気持ちで取り組んだ方がいいと思うよ。
  • 彼は猪突猛進するタイプだから、何かアドバイスをしても聞くような人ではない。

「猪突猛進」の類語

「猪突猛進」には以下のような類語に言い換えることも可能です。

  • 獅子奮迅(ししふんじん):獅子が奮い立って猛進するような勢いで活動すること。
  • 匹夫之勇(ひっぷのゆう):血気に走るだけの向こう見ずな勇気。
  • 暴虎馮河(ぼうこひょうが):血気にはやって無謀な危険をおかすこと。
  • 直情径行(ちょくじょうけいこう):感情の赴くままに任せて思う通りに行動すること。
  • 一心不乱(いっしんふらん):一つのことに集中して他のことのために心が乱れることがないこと。
  • 一路邁進(いちろまいしん):目的を達成するために、ひたすら進むこと。
  • 一意専心(いちいせんしん):ほかのことを考えず曽於事だけに心を集中すること。
  • 不惜身命(ふしゃくしんみょう):自分の身をかえりみないで物事にあたること。
  • 遮二無二(しゃにむに):後先を考えずにがむしゃらに行動すること。
  • 一所懸命(いっしょけんめい)/一生懸命(いっしょうけんめい):命がけに物事に取り組むこと。
  • 一気呵成(いっきかせい):物事を一気に成し遂げること。
  • 暴虎馮河の勇(ぼうこうひょうがのゆう):無謀な振る舞い。
  • 血気の勇(けっきのゆう):感情のおもむくままにまかせた粗暴な行為。
  • 進むを知りて退くを知らず(すすむをしりてしりぞくをしらず):前進することだけを考えて、時と場合によっては退くことも必要だということを知らないこと。
  • 無鉄砲(むてっぽう):むこうみずなこと。
  • 脇目も振らず(わきめもふらず):横をみることもしないさま。

このように「猪突猛進」には、たくさんの類語があります。

実際、他人に対して「自分は猪突猛進な性格だ」と言ったら、悪い意味で捉えられてしまう可能性が高いでしょう。

ですから、自分は一生懸命ににがんばる性格だ」というように言い換えたりしてみるのも良いかと思います。

「猪突猛進」の対義語

その一方で、猪突猛進の対義語としては、以下のような表現があります。

  • 泰然自若(たいぜんじじゃく):落ち着いてどんなことにも動じないさま。
  • 沈思黙考(ちんしもっこう):黙ってじっくりと物事を深む考え込むこと。
  • 千思万考(せんしばんごう):いろいろ考えをめぐらすこと。
  • 意気自如(いきじじょ):物事に驚き恐れたりせず、気持ちが普段と変わらず平静な様。
  • 熟慮断行(じゅくりょだんこう):十分に考えてから行動を決定すること。
  • 三思九思(さんしきゅうし):何度もじっくり考えること。

このように「猪突猛進」の対義語は、行動の有無に関わず、じっくり考えたり、冷静さを維持したりするという意味での表現が多いです。