この間、私の友人がすごく恐い顔をしていたので、理由を聞いてみたら、「実は、昨日、腹に据えかねることがあって、今でも怒りが収まらないだ。」と話していました。
その時、「腹に据えかねる」って、他にも何か似た表現があるなと思いまして・・・
そこで、今回は、「腹に据えかねる」の意味、例文、類語、そして英語での言い方などについて解説をしていきます。
「腹に据えかねる」の意味
「腹に据えかねる」とは、怒りや不満を心の中に抑えることが出来ない、我慢できる範囲を越えているという意味です。
ここでの「据える」とは、心をしっかり居定まらせるという意味なので「腹に据える」は、我慢してこらえるとか、心を落ち着けるという意味となります。
それが出来かねるということから、怒りを我慢出来ないという意味になる訳ですね。
「腹に据えかねる」は、怒りや不満を抑えることが出来ないという意味ですが、その後に怒りが爆発するか、それでもグッと我慢するかは、ケースバイケースです。
「肝に据えかねる」は誤用
「腹に据えかねる」という慣用句を聞いて、「肝に据えかねる」ではないのかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「肝に据えかねる」は誤用です。
実際、平成17年度「国語に関する世論調査」では、我慢できない思いを表現する場合、どちらの表現を使うかという質問に対して、
- 「肝に据えかねる」だと答えた人:18.2%
- 「腹に据えかねる」だと答えた人:74.4%
と、約5人に1が誤用していることが分かりました。
ですから、「腹」と「肝」を混同しないようにご注意下さい。
「腹に据えかねる」の例文
次郎
太郎
という感じで「腹に据えかねる」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 腹に据えかねた民衆が大規模なデモを行って街は騒然となった。
- 上司から文句を言われ続けても、ずっと我慢していたが、腹に据えかねたので、社長にすべての内容を報告した。
- 隣人の声がうるさいので、腹に据えかねる思いをしている。
- 友達と喧嘩をした後、彼はよっぽど腹に据えかねたのか、SNSで全部ブロックされてしまった。
- 接客業では腹に据えかねることがあっても、我慢しなければならないから、ストレスが溜まる。
- あれだけ、冷静な選手がカンカンに怒るとは、よっぽど腹に据えかねることがあったのだろう。
「腹に据えかねる」の類語
「腹に据えかねる」には、以下のような類語があります。
「腹に据えかねる」を英語で言うと?
「腹に据えかねる」を英語で表現する場合、基本的には、「我慢出来ない」という意味の英語で表現すれば大丈夫ですが、その中でも「腹に据えかねる」に一番近い表現は、“can’t stomach”だと言えるでしょう。
ニュアンスとしては、お腹の中に入れることが出来ないという感じです。
また、その他にも、
- can’t stand
- can’t suffer
- can’t suppress one’s anger
などが、ほぼ同じような意味だと言えます。
まとめ
「腹に据えかねる」とは、怒りを腹、すなわち心の中に収めることが出来ないというたとえから、怒りを押さえられる範囲を超えているという意味ですが、世の中に、「腹に据えかねる」ことは山ほどあると感じている方って多いのではないでしょうか。
しかし、だからといって、その都度、怒りを爆発させていては、いろいろなところに支障をきたしてしまいますから、そんな時は、大人の対応で、出来るだけ乗り越えていかれることを願っています。