羅生門を読んでいると、「ところがその主人から、四五日前に暇を出された」いう表現が出て来ます。
ここで「暇を出す」とは、どういった意味なのでしょうか?
そこで、ここでは、「暇を出す」の読み方、意味、例文、そして類語について解説をしていきます。
「暇を出す」の読み方
「暇を出す」の読み方は「ひまをだす」です。
羅生門での「暇を出された」も「ひまをだされた」と読みます。
ただ、「暇を出す」は「いとまをだす」と読む場合もありますので、どちらでも間違いだとは言えません。
「暇を出す」の意味
「暇を出す」には、二つの意味があります。
- 休みを与える
- 使用人などをやめさせる。妻と離縁する。
「休みを与える」という意味
「休みを与える」とは文字通りの意味ですね。
ただ、「休みを与える」と言っても、半強制的に休ませるという意味で使われることが多いです。
ですから「暇を出す」と言われても、基本的には、あまり喜ばない方が良いでしょう。
「クビにする」という意味
もし、古文や小説で「暇を出す」という表現が出来たら、「解雇・クビ」あるいは「妻と離縁する」という意味であることが多いでしょう。
ただ、クビの意味として使われるようになったのは、1950年代頃までです。
例えば、小説の羅生門には、
今この下人が、永年、使われていた主人から、暇を出されたのも・・・
という一説があります。
ここの「暇を出された」の意味は「解雇された」です。
残念ながら、下人は、長年に渡って仕えて来た主人からクビにされてしまった訳なのですね。
ただ、「暇を出す」は、古文や小説で見かけるぐらいで、最近では、ほとんど使われません。
ですから、「クビにする」という意味で、「暇を出す」といっても通じないことの方が多いでしょう。
「暇を出す」の例文・使い方
「暇を出す」には、以下のような例文、使い方があります。
「暇を出す」の例文1
「君には暇を出すから、少しゆっくり休んだ方が良い。」
もし、上司から「暇を出す」と言われたら、上司から慰労の意味を込めて、休みを与えられたと思う人がいるかもしれません。
しかし、それは勘違いである可能性が高いです。
実際は、「お前に時間をやるから、しっかり反省してこい。」という叱責の意味が込められているケースがほとんどです。
「暇を出す」の例文2
「会社の売り上げが下がり続けている状況では、従業員に暇を出すのもやむを得ない。」
従業員や部下をクビにする時に、直接的にクビにするとは言わず、暇を出すという表現を使う場合があります。
ただ、「暇を出す」という言葉自体が最近は使われないので、意味がうまく伝わらない可能性もあります。
「暇を出す」の類語
「暇を出す」には以下のような類語があります。
- 辞めさせる
- 解雇する
- 暇(いとま)を出す
- 引導を渡す
いずれも、「暇を出す」が「クビにする」という意味である場合の類語です。
まとめ
「暇を出す」は、現代社会では、ほとんど使われない慣用句なので、「暇を出す」と言われたら、喜んで良いのかの、悲しむべきなのか、分からずに戸惑う方もいるかもしれません。
また、羅生門に「暇を出された」と書かれると、下人は、主人から休暇を与えてもらったと勘違いする人もいるかと思います。
しかし、「暇を出す」はクビという意味で使われることが多いですし、「休みを与える」という意味で使われる場合も、ネガティブな意味であることが多いので、そう言われても、喜ばない方が無難です。