こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
時代劇を見ていたら、「武士の風上にも置けない奴だ」というセリフを聞いたのですが、その時、「風上にも置けない」という表現について「あれっ」と思ったんです。
「風上にも」と「も」を使う場合、他にも置いたらいけない場所があるのかなと思ったからです。
そこで、今回は、「風上にも置けない」の意味、例文、類語、そして誤用となる表現についてお伝えしていきます。
「風上にも置けない」の意味
「風上にも置けない」は、風上に悪臭を放つものを置くと、風下に、その臭いが来てたまったものではないことに由来して、性格や行動が卑劣な人を罵しる時に使う言葉です。
ここで「風上にも」と聞くと、「風上だけでなく、他にも置けない場所があるのか?」と疑問に思う人がいらっしゃるかもしれません。
ただ、ここでの「も」は、「~もまた」という並列の意味ではなく、格助詞「に」+係助詞「も」という形で、強調の意味を表しています。
別の表現をすれば、「風上に置けないほど」卑劣な奴という意味です。
同じような使い方としては、「あまりにひど過ぎて怒る気にもならない」という表現もありますよね。
「風下にも置けない」は誤用
「風上にも」の「も」にとらわれれてしまうと、「(風上だけじゃなく)風下にも置けない」と言ってもいいんじゃないかと思う方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、卑劣な人は、風下にも置きたくない気持ちも分かるのですが・・・
「にも」は並列の意味で使っている訳ではないので、「風下にも置けない」は誤用となります。
「風上にも置けない」の使い方・例文
次郎
太郎
という感じで「風上にも置けない」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- そんな情けないスコアを出すなんて、ゴルファーの風上にも置けないよ。
- ロクに取材もしないでねつ造記事ばかり書いている人は、記者の風上にも置けない。
- あんなに可愛い子供をいじめるなんて、人間の風上にも置けない奴だ。
- 二股交際を平気でするなんて男の風上にも置けない。
「風上にも置けない」の類語
「風上にも置けない」の類語には以下のようなものがあります。
- 反社会的な
- 非道な
- 人の道にそむく
- 道理に反する
- 非倫理的な
その時の状況や度合いによって、差し替えられる言葉が変わって来ますが、いずれにせよ、人として、良くないことをしているという意味では共通しています。
まとめ
「風上にも置けない」とは、元々、風上に臭いものが置いてあることを前提として話していますが、そういった点からも考えて、「風上に置けない人」というのは、相当腐った奴だというニュアンスが含まれています。
また、「にも」と強調の表現もありますから、「風上にも置けない」という言葉はよっぽど腹を立てた時に使う表現だということが分かりますよね。
ですから「風上のも置けない」という言葉を聞いたら、その人は、相手に対して本当に怒っているんだと理解して良いかと思います。