「同じ轍を踏む」の意味・由来・例文・類語!読み方にご注意を


先日、ニュースで、あるスポーツ選手が「去年は、後半に失速してしまったので、今年は同じ轍を踏むことがないよう万全の準備をしてきました。」と話していたんですね。

その時、あれっ、「おなじてつをふむ」と「おなじわだちをふむ」のどっちの読み方が正しいんだっけと考えまして・・・

そこで、今回は、「同じ轍を踏む」の意味、由来、例文、そして類語について解説をしていきます。

「同じ轍を踏む」の意味

「同じ轍を踏む」とは、先人が失敗したと同じ失敗を繰り返すことを意味します。

先に失敗した人は、他人の場合もありますが、過去の自分の場合でも使うことが出来ます。

最初に失敗したケースでは、失敗の原因が明らかになっていることが多いです。

しっかり対策を練れば、同じ失敗を避けることは可能なのに、あまり対策を考えず、まったく同じパターンで失敗してしまうような時にこの表現を使います。

「同じ轍を踏む」の読み方に注意

「同じ轍を踏む」の読み方は「おなじてつをふむ」です。

轍は、音読みだと“てつ”と読みますが、訓読みだと“わだち”となります。

人気デュオであるコブクロも「轍-わだち」という曲を歌っているので、「おなじわだちをふむ」と読んでしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実際、「おなじわだちをふむ」という読み方も使っている人もいます

ただ、こちらの方は少数派なので、「おなじてつをふむ」と読んだ方が無難だと言えるでしょう。

「同じ轍を踏む」の由来


轍(てつ)とは、車の輪の通った跡を意味します。

ですから、車が前に進もうとした際、目の車の車輪跡にハマって転倒してしまうことが由来となって、この慣用句が出来ました。

道がぬかるんでいて、車輪の跡がはっきり残っていると、そこでバランスを崩してしまう可能性は非常に高いですよね。

そういったシーンを想像して頂ければ、理解が深まるかと思います。

「同じ轍を踏む」の例文・使い方

去年の新商品の売り上げは、散々だったから、今年は、絶対、ヒットさせないとね。

次郎

太郎

本当にそうだね。今年は、同じ轍を踏むことがないようがんばろう。

という感じで「同じ轍を踏む」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。

  • 前回の失敗から、何も教訓を学ぼうとせず、次の事業を始めようとしても、同じ轍を踏むだけだ。
  • 監督は、同じ轍を踏むまいと、大胆に作戦を変えて来た。
  • ここで、相手方の要望を受け入れると、同じ轍を踏むことになってしまうよ。
  • うまくいかなかった時は、今後、同じ轍を踏まないよう、原因と対策をはっきりさせる必要がある。

「同じ轍を踏む」の類語

「同じ轍を踏む」には、以下のような類語があります。

「二の舞を演じる」

「二の舞を演じる」にも、前の人と同じ失敗を繰り返すという意味があります。

「二の舞を演じる」は、雅楽の舞曲である安摩(あま)に続いて、咲面(えみめん:老爺の笑顔をかたどった面)と腫面(はれめん:老婆のふくれっ面をかたどった面)の二人が、安摩の舞を真似て、こっけいに舞うことが語源となった慣用句です。

語源は違いますが、同じようなシチュエーションで使います。

「二の舞を踏む」は誤用!?

「同じ轍を踏む」と「二の舞を演じる」を混ぜて、「二の舞を踏む」と使う人もいます。

「二の舞を踏む」は、誤用だと指摘している国語辞典もありますが、実際、「二の轍を踏む」は意外に多く使われています。

ですから、「二の舞を踏む」は一概に誤用だとは言い切れないところがあります。

ただし、「二の轍を踏む」という表現は明らかな誤用なのでご注意下さい。

また、他にも「二の足を踏む」という表現もありますが、これは、二歩目を踏み出すのに思い悩んで足踏みをすることから、決断ができずためらることを意味します。

「同じ失敗(間違い・誤り)を繰り返す」

「同じ失敗を繰り返す」、「同じ間違いを繰り返す」、「同じ誤りを繰り返す」、いずれもたとえではなく、直接的に表現したものですね。

「二度あることは三度ある」

「二度あることは三度ある」とは、二度も同じようなことがあると、さらにもう一度、続いて起こる可能性が高くなることから、物事は繰り返されることが多いので油断をしてはならないという戒めの意味を持った表現です。

間違いを繰り返すという意味では、共通していますが、「同じ轍を踏む」は、過去に犯した失敗が一回のみであるかもしれないのに対して、「二度あることは三度ある」は、過去に少なくとも2回以上は失敗しているニュアンスを含んでいます。

また、「二度あることは三度ある」に該当するケースは、自らの意志や責任に関係なく起こってしまうことが多いですが、「同じ轍を踏む」は、自らの原因で失敗を犯してしまう時によく使われます。