こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
先日、仕事ですごく難しい問題にぶち当たったので、友達に相談したんですね。
すると、「いろいろとアドバイスは出来るけれど、最後は、天は自ら助くる者を助くだから、自分で乗り越えないとダメだよ」って言われました。
その時、「天は自ら助くる者を助く」ということわざは、すごくいい言葉だなとしみじみ実感したんですね。
そこで、今回は、「天は自ら助くる者を助く」の意味、出典、例文、そして類語についてお伝えしていきます。
目次
「天は自ら助くる者を助く」の意味
「天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)」とは、他人を頼りにせず、自ら道を切り開こうとする人を天は助けて幸福にしてくれるという意味です。
「天」という存在は、いかにも無条件で人を助けてくれそうなイメージがありますし、何か困った時は、とにかく天にすがる思いで、嘆願する人もたくさんいます。
しかし、「天」が助ける人は、助けを求める人ではなく、自分自身で何とかしようとする人だというのです。
「天は自ら助くる者を助く」の出典は諸説ある
「天は自ら助くる者を助く」の出典には諸説があります。
キリスト教の聖書が出典ではない
「天は自ら助くる者を助く」ということわざを聞くと、いかにもキリスト教の聖書が出典のような言葉だと思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、聖書に、このような聖句はありません。
「自助論」が出典だと言われる理由
「天は自ら助くる者を助く」の出典に関しては、1859年に発行された「自助論(Self-Help)」であると一般的に言われています。
自助論(Self-Help)」は、サミュエル・スマイルズという英国の作家が書いた世界的名著なのですが、その序文中に“Heaven helps those who help themselves.”という格言があります。
そして、1871年(明治4年)に当時、幕府の留学生だった中村正直が自助論を翻訳し、「西国立志編」という書名で出版されたのですが、発行部数が100万部を超え、福沢諭吉の「学問のすすめ」と並んで明治の大ベストセラーとなりました。
その「西国立志編」の中で、“Heaven helps those who help themselves.”は「天は自ら助くる者を助く」という訳されていたのです。
「天は自ら助くる者を助く」という日本語でのことわざの出典は、間違いなく自助論なので、そういった意味で、自助論が出典であるというのは、正しいと言えます。
「自助論」の前にも言っていた人達
しかし、サミュエル・スマイルズが自助論を書く前にも17世紀の英国の政治家であり、哲学者でもあったアルジャーノン・シドニーも、“God helps those who help themselves.”という言葉を残しています。
また18世紀のアメリカの政治家であるベンジャミン・フランクリンの「貧しいリチャードの暦」にも、“God helps them that help themselves.”という格言が出て来ます。
ですから「自助論」が発刊される以前から、「天は自ら助くる者を助く」という言葉はあったことが分かります。
ラテン語の古いことわざにもある!?
さらに、ラテン語の古いことわざに、「天は自ら助くる者を助く」ということわざはあったという説もあります。
ラテン語では、fortes fortuna adjuvat(フォルテース・フォルトゥーナ・アドユウァト)と言いますが、これは、「運命は、強い者を助ける」と訳すことが出来ます。
確かに、意味は「天は自ら助くる者を助く」と似たような感じです。
ただ、主語が「天」ではなく、「運命」なので若干、違う感じがします。
また、イソップ「牛追いとヘラクレス」にも、同じような教訓があると言われています。
しかし、これも「天は自ら助くる者を助く」と同じような考え方があったという意味で、「天は自ら助くる者を助く」という言葉そのものがあった訳ではありません。
「天は自ら助くる者を助く」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「天は自ら助くる者を助く」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 周りの環境のせいにするのではなく、天は自ら助くる者を助くという気持ちで努力出来る人が、最後は成功することが出来る。
- 天は自ら助くる者を助くという気持ちを持たなければ、問題解決能力はいつまで経っても向上しない。
- 地震が来た時、誰かに助けてもらうのは申し訳ないんどえ、天は自ら助くる者を助くで、事前に防災グッズを準備することにした。
「天は自ら助くる者を助く」の類語
「天は自ら助くる者を助く」の類語として、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。
この言葉は、自分の全力をかけて努力をして、あとは、静かに天命に任せるという意味です。
そうすれば、必ず天が助けるという保証はないのですが、それでも、まずは自分自身が100%の努力をするという点で「天は自ら助くる者を助く」と意味が同じだと言えます。
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まとめ
私自身、「天は自ら助くる者を助く」という言葉は大好きです。
なぜなら、人は、難しい問題に直面すると、すぐ、周りの環境のせいにしたり、泣き言や不平不満を言ったりして、自分が努力することを放棄してしまう傾向があるからです。
そのような姿勢では、いつまで経っても状況は好転しませんし、逆にますます深みにハマっていくだけです。
しかし、そのような時にこそ、「天は自ら助くる者を助く」という精神を実践すれば、今、自分が何をすべきか、冷静に判断し、前進できるようになります。
「天は自ら助くる者を助く」は、明治時代、「西国立志編」の大ヒットと共に、多くの人達の胸に胸に刻まれた言葉です。
もちろん、今でも、このことわざの価値は、まったく変わっていないので、あなたの家庭や職場で活かしてみてはいかがでしょうか?