この間、友人と海外旅行をした際、食事で、とても不思議な料理が出て来たんですね。
それを一口食べた友人が「こういったものを好んで食べる人がいるなんて、蓼食う虫も好き好きだなあ。」と感慨深く話していました。
その時、「蓼食う虫も好き好き」ということわざを聞いて、「蓼食う虫ってどんな虫なんだろう?」といろいろ考えまして・・・
そこで、今回は、「蓼食う虫も好き好き」の意味、由来、使い方、類語、対義語、そして英語での意味について解説をしていきます。
目次
「蓼食う虫も好き好き」の意味
「蓼食う虫も好き好き」とは、「人の好みは様々である」という意味を持つことわざです。
食べ物や物に対する好みで使う時もありますし、結婚や恋愛など人間関係でもよく使われます。
「蓼食う虫も好き好き」の由来
「蓼食う虫も好き好き」という言葉を聞いて「蓼食う虫ってどんな虫だろう?」と気になる方もいらしゃるかと思います。
その前に「蓼(たで)」について説明すると、蓼とは、タデ科タデ属の植物の総称です。
具体的には、イヌタデ、ハナタデ、オオケタデ、サクラタデなどがありますが、「蓼食う虫も好き好き」に出て来る「蓼」は「ヤナギタデ(柳蓼)」を指します。
ヤナギタデの葉や茎を食べると、刺激がある辛くて苦い味がします。
そのため、普通の虫だったら、寄り付かないのですが、蓼を好んで食べる虫がいます。
具体的には、ホタルハムシ、カミナリハムシ、イチゴハムシ、タデアブラムシ、タデコヤガなどが、蓼を食う虫だと言われています。
このように、普通はどの虫も食べないだろうと思われる植物でも食べる虫がいるという話が由来となって、人の好みは様々という意味で、「蓼食う虫も好き好き」ということわざが使われるようになったのです。
ちなみに余談ですが、蓼は、虫が食べるだけでなく、料理でも「蓼酢(たです)」として用いられることもあります。
「蓼食う虫も好き好き」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「蓼食う虫も好き好き」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 彼女がああいった男性に惹かれるとは、蓼食う虫も好き好きというか、恋愛のメカニズムは実に不思議なものだ。
- 日本では価値がないと思われるものでも、蓼食う虫も好き好きで、海外では意外な高値で売れる時がある。
- この商品がニッチなマーケットで人気とは、やはり、蓼食う虫も好き好きだと実感する。
- 蓼食う虫も好き好きと言われるように「美しい」と思われる条件は、国よって大きく異なる。
「蓼食う虫も好き好き」の類語
「蓼食う虫も好き好き」には以下のような類語があります。
「千差万別」
「千差万別」とは、種々様々あって、違いもいろいろあるという意味です。
人の好みに限定すれば、「蓼食う虫も好き好き」と同じような意味で使うことが出来ますね。
「十人十色」
「十人十色」とは、好み、考え、性格などは人によってそれぞれ違うという意味です。
この言葉も、「千差万別」と同様、人の好み限定すれば、「蓼食う虫も好き好き」と同じ意味で使えます。
「割れ鍋に綴じ蓋」
「割れ鍋に綴じ蓋」には、「どんな人にもふさわしい配偶者は必ずいる」という意味があります。
「蓼食う虫も好き好き」は、「どんな人でも好きになってくれる人はいるはずだ」という意味で使われますから、そういった観点で同じように使うことが出来ますよね。
割れ鍋に綴じ蓋の意味・語源・使い方・類語!それって悪い意味なの?
「蓼食う虫も好き好き」の対義語
「蓼食う虫も好き好き」の対義語には、「熊野松風に米の飯(ゆやまつかぜにこめのめし)」ということわざが該当します。
「熊野松風に米の飯」とは、謡曲の「熊野」や「松風」は米の飯のように誰にでも好まれる名曲であるという意味です。
蓼は好む虫が限定されるけれども、「熊野」や「松風」は誰からも好まれるという点で反対の意味を持つ訳です。
「蓼食う虫も好き好き」は英語では何という?
「蓼食う虫も好き好き」は英語で、
- There is no accounting for taste.
と訳すことが出来ます。
ここでの“accounting for”は、「~を説明すること」という意味です。
ですから、直訳したら、「好みは説明することができない」という意味になりますね。
まとめ
「蓼食う虫も好き好き」は、「人の好みは様々な」という意味ですが、私自身も人の好みは、本当に千差万別、十人十色だと実感することは多いです。
ですから、あまり固定観念にとらわれず、柔軟な発想をしていくことが大切なのかなと思います。