こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
最近、私が勤めている会社で中途採用で人を雇うため、募集を掛けたところ、数人の方から履歴書が送られて来ました。
その履歴書の志望動機を見ていると、「前職の身に付けた〇〇の経験を生かし・・・」と書いている人もいれば、「このスキルを活かすことによって貴社に貢献出来ると思いました」という人もいました。
あれ、こんな時、「生かす」と「活かす」のどっちを使うのが正しいのでしょうか?
私もちょっと混乱してしまったので、ここでは、「生かす」と「活かす」の違いについて、例文も交えながら解説すると共に、履歴書では、どちらを使うのが良いのか解説をしていきます。
「生かす」と「活かす」の違い
「生かす」と「活かす」の違いを簡単に説明すると以下のようになります。
- 生かす:生命や生死に関する時に使う
- 活かす:才能、能力、特性などを活用する時に使う
「生かす」の例文
生命や生死に関わる表現をする時は、「生かす」を使いますが、例文には以下のようなものがあります。
- 人は生かされている存在である
- 花に水を上げて生かして上げる
- 生かすも殺すも自分次第
- 瀕死の状態だった野良犬を生かすことに成功した
「活かす」の例文
その一方で、以下のように才能や能力などを活用するときは、「活かす」を使う時もあります。
- 今まで培った経験を存分に活かす
- 過去の失敗を活かす
- 長所を活かす
- 学校で習って来た知識を活かす
- 自分だけにしかない個性を活かす
- 前職の経験を活かす
「活かす」の例文を見てみると、「あっ、これ履歴書を書く時によく使う表現じゃん」と思われるかもしれません。
ただ、最終判断は、もう、ちょっと読んでからにして下さいね^^
「活かす」は常用漢字ではない
実は、「活かす」という表現は、常用漢字での読み方ではありません。
常用漢字で、「活」は「カツ」とのみ、表現するようになっています。
ですから、「活かす」という表現は、厳密にいうと間違った表現になってしまうのです。
そのため、公文書、新聞、放送などでは、原則として、「生かす」を使っています。
小学校のテストで、「活かす」と書いたら、×にされてしまうので、ご注意下さい。
また、「活かす」の例文として挙げていた表現についても、
- 今まで培った経験を存分に生かす
- 過去の失敗を生かす
- 長所を生かす
- 学校で習って来た知識を生かす
- 自分だけにしかない個性を生かす
- 前職の経験を生かす
と「生かす」に全部、置き換ええることが可能なんです。
ですから、本当に正しい表現にこだわるのであれば「生かす」を使うのが無難だと言えます。
結局、履歴書では、生かす?活かす?
では、結局、履歴書で志望動機や自己PRの欄で、経験、個性、能力を「いかす」という表現を使う場合、「生かす」と「活かす」のどちらを使うのが良いのでしょうか?
基本的には、どちらを使っても大丈夫です。
ただ、ビジネスの観点から言えば、「活かす」を使うことをお勧めいたします。
理由は2つあります。
一つ目の理由は、履歴書は公的な文書ではないので、厳密に正しい表現かどうかは問われないからです。
そして、もう一つの理由は、「活かす」の方が、自己アピール感がより強いからです。
(これは、あくまでも私自身の印象ですが)
もちろん、「活かす」と書いたからといって、必ず採用される保証はありません。
ただ、このような小さな積み重ねによって、採用担当者に熱意が伝わり、採用される可能性は少なからず上がって来ると思います。
言葉は生きているものです。
ですから、履歴書を書くと時は、是非、言葉の力を活かして下さいね!