この間、ラーメン屋の店長と話をしていたら、「私は、元々、サラリーマンだったんですけど、ひょうんなことから脱サラして、ラーメン屋になったんですよ。」と言われたんですね。
その時、ひょんなことからの「ひょん」っ何なのかいろいろ気になりまして・・・
そこで、ここでは、「ひょんなこと」の意味、語源、そして例文について解説をしていきます。
「ひょんなこと」の意味
「ひょんなこと」には、予期できないこと、ちょっとしたこと、不思議なきっかけ、妙なこと、という意味があります。
今までのその人の人生や言動からは、あまり考えられないことが起こった場合、本当は、様々な理由や事情があるものですよね。
ただ、それを話すと長くなるので簡単に伝えたい時に「ひょんなこと」という表現を使ったりします。
「ひょんなこと」の語源・由来
「ひょんなこと」の「ひょん」の語源には、3つの説があるので、それぞれご紹介していきます。
「凶」から来た説
「ひょん」には、「凶」という漢字が語源であるという説があります。
江戸時代の儒学者である新井白石は、その著書である「同文通考(どうぶんつうこう)」の中で、不吉であることを意味する「凶」の中には、「ひょん」という読みがあり、そこから、「ひょんなこと」というようになったと説明しています。
イスノキという木の別名という説
「ひょん」は、元々、イスノキの別名である「ひょん」が語源であるという説もあります。
江戸時代の方言の俗語の辞典である「片言」には、ひょん(イスノキ)の木の実が、とても特徴的なので、「変な」という意味で、「ひょん」としたと書いてあるんですね。
シスノキの葉には、小さな虫が、虫こぶを作るのですが、秋になると、虫が穴の中から飛び出していきます。
虫がいなくなった虫こぶは、成熟すると表面が硬くなって、内部が空洞となり、出入り口の穴に唇を当てて吹くと、「ひょうひょう」となることから、「ひょんな」という言葉が生まれたというのです。
東北地方の方言
言語学者の堀井令以知さんは、「ひょん」は、樹木に寄生するヤドリギ(宿り木)が由来となったという説を出しています。
ヤドリギは、他の木に寄生しながら、常緑を保つという、妙な力を持っています。
このヤドリギは、東北地方の方言で、「ひょー」と呼ぶそうで、そこから「ひょんな」というようになったというです。
「ひょんなこと」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「ひょんなこと」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- ひょんなことで彼と出会ったのは、かれこれもう10年前のことだ。
- ひょんなことから、元々嫌いだった彼女と付き合うようになった。
- ひょんなことがきっかけで、彼は山奥で仙人のような生活を始めた。
- 自分は猫が嫌いだったが、ひょんなことで、怪我をした猫の面倒を見ることになった。
- 二人は、ひょんなことから一緒に仕事をすることになった。
まとめ
「ひょんなこと」には、大きく分けると、予期できないことという意味と、妙なという2種類の意味があります。
実際、「ひょんなこと」の語源を辿っていくと、語源にも、いろいろな諸説があり、どれが本当に正しい由来であるかは、定かではありません。
もしかしたら、それこそ、ひょんなことをきっかけにして生まれた表現なのかもしれませんね。