最近、人材不足が叫ばれる中で、「亀の甲より年の功と言われるから定年を迎えた人の技術をもっと活用しよう。」というコメントを新聞記事で、見かけたことがあります。
その時、「亀の甲より年の功」ということわざを見て、「亀の甲」も長い期間を表すのに、どうして「年の功」と比べるのかなと思いまして・・・
そこで、今回は、「亀の甲より年の功」の意味、由来、例文、類語、反対語、そして英語での表現について解説をしてきます。
目次
「亀の甲より年の功」の意味
「亀の甲より年の功」とは、年長者が長年培って来た知識や経験はとても貴重で価値があるという意味です。
高齢者、先輩、親など年上の人達は、長く生きている分、より多くの経験値を持っているので、話をちゃんと聞くことは大切だよと伝えたい時によく使います。
「亀の甲より年の功」の由来・語源には諸説ある
「亀の甲より年の功」の由来や語源にはいくつかの諸説があります。
その一つは、亀は万年生きると言われているけれども、甲羅は進化することがない、しかし人の寿命は80年ぐらいと短くても、経験や知識を積み重ねるので、より尊いという説です。
その一方で、上記の説を否定する形で、「亀の甲」と「年の功」を比較している訳ではないという説もあります。
「年の功」は元々「年の劫」と書いていたのですが、「劫」とは、仏教が説く時間の中で最も長い概念を意味します。
ですから、「年の劫」は「亀の甲」と負けず劣らず長い時間なのです。
では、なぜ「亀の甲より年の功」と言っているかというと、これはリズム感を生むための単なる語呂合わせだというのです。
そういった点では、驚き桃の木山椒の木と同じような感じですね。
「亀の甲より年の功」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「亀の甲より年の功」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 亀の甲より年の功と言うように、親の言うことは、当たっていることが多いから、ちゃんと聞いておいた方が良い。
- いろいろ人生で悩んだことがあったので、祖父に相談したら、ものすごく良いアドバイスをもらうことが出来た。やはり亀の甲より年の功だ。
- 円熟した夫婦は、亀の甲より年の功で、どうすれば夫婦がケンカをせずに仲良くやっていけるか熟知しているものだから、いろいろ聞いてみたら良いだろう。
- ここまで深みのある絵を描けるなんて、さすが亀の甲より年の功ですね。
- その小学生は、おじいちゃんやおばあちゃんから様々な生活の知恵を教えてもらって、亀の甲より年の功だということを実感した。
「亀の甲より年の功」の類語
「亀の甲より年の功」には以下のような類語があります。
- 老いたる馬は道を忘れず:経験を積んだ人は道を誤らない
- 老馬の智:無能に見えても経験が豊富な人は判断を誤らない
- 一日の長:経験や技量が相手より少し優れている
- 医者と味噌は古いほどよい医者は経験を積んだ人の方が良いし、味噌は年月が経ったものの方が美味しい
- 烏賊(いか)の甲より年の功:イカの甲はあまり役に立たないが、年の功は積めば積むほど価値がある
- 習うより慣れろ:人から教わったり、本を読んで学んだりするよりも、自ら実際に経験して、体で覚えた方が身に付く
「亀の甲より年の功」の反対語・対義語
「亀の甲より年の功」の反対語・対義語には、「麒麟も老いては駑馬に劣る(きりんもおいてはどばにおとる)」ということわざがあります。
いかに才能を持った人でも年を取れば、平凡な人にも及ばなくなるという意味です。
年齢を重ねた人は、知識や経験値ではアップしますが、体力的にはどうしても劣ってしまうので、その点を突いたことわざだと言えます。
「亀の甲より年の功」を英語で言うと?
「亀の甲より年の功」を英語で言う場合は、以下のように訳すことが出来ます。
- Experience is the best teacher.(経験は最高の師である)
- Years bring wisdom. (歳月は知識をもたらしてくれる)
- The older you are, the wiser you are. (歳を取れば取るほど賢くなる)
- Years know more than books. (歳月は書物以上にものを知っている)
まとめ
「亀の甲より年の功」は、年長の人の話は貴重だから、ちゃんと聞くべきだという時に使いますが、これは、若い人にとって、結構、耳の痛い話に聞こえるかもしれません。
しかし、その時は年長者の言っていることの意味が分からなくても、後になって、「あの時、言われたことは本当に正しかった」と実感することは非常に多いものです。
ですから、年長の人から何かアドバイスを受けた時は、謙虚になって聞くことも大切ですよ。