先日、あるチームを移籍したプロ野球選手が、それまでの不調が嘘のように活躍し始めたのを見て、アナウンサーが「この選手は、水を得た魚(みずをえたうえ)のように活躍しています!」と言っていたんですね。
その時、「あれっ、水を得たさかなじゃなかったってけ?」といろいろ考えてしまいまして・・・
そこで今回は「水を得た魚」の読み方、意味、例文、類語、対義語、そして英語での表現について解説をしていきます。
目次
「水を得た魚」の読み方
「水を得た魚」の読み方は「みずをえたうお」です。
「みずをえたさかな」だと思っていた人は、結構多いのではないでしょうか?
実は、魚(さかな)は元々、「酒菜(さかな)」と書き、酒のつまみを意味していました。
そして、いわゆる魚類全般は、「うお」と呼ばれていたのですね。
最近は「水を得たさかな」と読まれることも多いので、意味は通じると思います。
ただ、正しい読み方は、やはり「水を得たうお」だと理解しておく必要があるでしょう。
「水を得た魚」の意味
「水を得た魚」とは、その人に合った環境で生き生きと活躍する様子を意味します。
魚は、水がないところでは、思うように動くことが出来ず、バタバタともがくだけで、すぐに息絶えてしまいます。
しかし、そうやってもがいている魚を再び水の中へ入れて上げると、一気に力を回復し、スイスイ泳いでいきますよね。
人も同じように自分に合った環境へ行くと、突然、人が変わったかのように生き生きとし始めるケースがありますが、そういった時に使うことわざです。
「水を得た魚」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「水を得た魚」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 彼女の今回の役は、はまり役だったのか、まるで水を得た魚のような素晴らしい演技をしている。
- 彼は、事務職からサービス業に転職したが、それから水を得た魚のように働いている。
- 私は、人と接する環境に行くと、水を得た魚のように性格が明るくなるタイプだ。
「水を得た魚」を英語でいうと?
「水を得た魚」を英語では、“a fish in water”とか、“in one’s element”と表現することが出来ます。
例文を挙げると以下のような感じです。
- He started talking like a fish in water.(彼は、水を得た魚のように話し始めた)
- He is in his element at the company.(その会社で彼は水を得た魚のように働いている)
ここでの“element”は、得意分野と訳することが出来ます。
「水を得た魚」の類語
「水を得た魚」の似たことわには以下のような表現があります。
「魚の水を得たるが如し」
「魚の水を得たるが如し」には、「離れることの出来ない親密な交際や間柄」という意味と、「その人にふさわしい場所を得て能力を発揮して活躍する」という意味があります。
2番目の意味は、「水を得た魚」と同じような意味となりますね。
「鬼に金棒」
「鬼に金棒」とは、ただでさえ強いものに、より一層の強さが加わることを意味します。
より生き生きするという点では、「水を得た魚」と同じような意味で使われる時もあります。
ただ、「水を得た魚」は、それまでイマイチだった人が急に輝き始まるという形で使われることが多いのに対して、「鬼に金棒」は元々強かった人がさらに強くなるという点で、違いがあります。
「我が世の春を謳歌する」
「我が世の春を謳歌する」は、何事も自分の思い通りになる、最も得意な時期を意味します。
「水を得た魚」とも生き生きするという点では共通した意味を持ちますが、「水を得た魚」は環境に合った場合に使われ、「我が世の春を謳歌する」は時期的にそうだという点で違いがあります。
「水を得た魚」の反対語
「水を得た魚」とは逆の意味を持つ、ことわざとしては、以下のような表現があります。
- 陸に上がった河童(おかにあがったかっぱ)
- 水を離れた魚
- 木から落ちた猿
いずれも、得意の環境を失ってしまったら、力を失ってしまうことが分かる表現ですよね。
まとめ
「水を得た魚」は、自分にふさわしい得意分野で活躍することを意味しますが、あなたの身の回りでも、環境が変化することによって、急に活躍し出す人を見かけたりしないでしょうか?
もちろん、どんな環境でも一生懸命がんばることが大切という話もあります。
しかし、今の立場が自分に合っていないと感じるのであれば、思い切って、環境を変えてみるのも一つの手かもしれませんね。