先日、私の女性の友達が、「主婦が旅行に行って、何が良いかって、やっぱり、普段の家事から解放されて、上げ膳据え膳の生活が出来るってことよね。」と言っていたんですね。
その時、「上げ膳据え膳」と聞いて「あれっ、上げ膳下げ膳じゃなかったっけ?」と思ったのですが・・・
そこで、今回は、「上げ膳据え膳」の意味、語源、使い方、類語、そして英語での表現について解説をしていきます。
「上げ膳据え膳」の意味
「上げ膳据え膳」とは、何から何まで人の世話になって、自分からは何もしなくて良いことを意味します。
自分が「上げ膳据え膳」になっている時は、良い意味で使うことが多く、そういった状態がいかに気楽かというニュアンスを伝えたい時に使います。
その一方で、誰かが「上げ膳据え膳」であることを指す時は、「本当に、あの人は、自分では何もしないんだから・・・」と揶揄するニュアンスを込めて使うことが多いです。
「上げ膳下げ膳」は誤り
「上げ膳据え膳」と聞いて、「上げ膳下げ膳」との違いは何かと思う方も時々いらっしゃいます。
しかし「上げ膳下げ膳」は誤りです。
「上げ膳」と「下げ膳」は対照的な表現に思えて、ついつい使ってしまう方が多いですが、間違えないようにして下さいね。
「上げ膳据え膳」の由来・語源
「上げ膳据え膳」は、食事から来た言葉で、膳は、「食膳」、すなわち食事をのせる台を意味します。
そして、
- 上げ膳:食膳を取り下げること
- 据え膳:食膳を人の前に据えること
を指しますが、食事の準備や片づけを全部、人に任せて、自分では何もしないことを指して、「上げ膳据え膳」というようになりました。
特に、旅館に泊まると、座っているだけで、食事が運ばれてきて、終わると全部片づけてくれて、文字通り「上げ膳据え膳」となることが多いですよね。
また、昔の旦那さんの中には、自分は、お金を稼いでいるんだから、家では何もしなくても良いと思って、奥さんに上げ膳据え膳をしている人が多かったと思います。
ただ、最近は、家で何もしない旦那さんに対する世間の風当たりは、強くなりつつあり、やはり、家事は分担し合おうという家庭も増えつつあるのではないでしょうか。
「上げ膳据え膳」の例文・使い方
次郎
太郎
- 大学に入って一人暮らしを始めてみると、いかに自分が、上げ膳据え膳の生活をしていたかということを痛感した。
- こちらのレストランは、上げ膳据え膳で、最高級の食事が楽しめるのでおすすめだ。
- 出産後、実家に帰り、体が回復するまで、上げ膳据え膳でゆっくりした。
- クルーズ船に乗っている間は、上げ膳据え膳の生活を楽しめることが出来た。
- スロットのブログをやっていたら、ある雑誌の編集者の目に止まり、上げ膳据え膳でいろいろなスロット案件のお仕事をもらうことが出来た。
「上げ膳据え膳」の類語
「上げ膳据え膳」は以下のような類語に言い換えることが出来ます。
至れり尽くせり
「至れり尽くせり」とは、配慮が行き届いていて、申し分ないことを意味します。
何でもやってくれるから自分は何もしなくて良いという点で、「上げ膳据え膳」と同じような意味を持つと言えます。
ただ、「至れり尽くせり」だからといって、必ず自分は何もしなくて良いという訳ではない時もあります。
また、「上げ膳据え膳」は自分で何もしない人を皮肉る時に使ったりしますが、「至れり尽くせり」は、配慮をしてくれる人に対して、感謝の表現をする時によく使います。
下にも置かない
「下にも置かない」には、非常に丁重に扱うという意味があります。
ここでの「下」は「下座(しもざ)」を表しますが、下座にも置かないほど、丁重に扱うという点で、「上げ膳据え膳」と似た表現だと言えます。
「上げ膳据え膳」は英語で何という?
「上げ膳据え膳」は英語だと、
- take care of everything:「すべての面倒を見る」という意味
- not need to do anything:「何もする必要がない」という意味
と訳すことが出来ます。
例えば、以下のように表現したりします。
- This inn takes care of every thing. (この旅館は、上げ膳据え膳である。)
- I did not need to do anything in the hospital.(病院では、上げ膳据え膳だった。)
英語圏には、東洋のような食膳は使わないので、「(誰かが)すべての面倒をみてくれる」か「何もする必要がない」という形で直接表現します。
まとめ
旅館に行ったりすると、「上げ膳据え膳」のサービスを受けることが出来るので、そういった時は、本当に気持ちが良いものですよね。
ただ、その場合は、旅館に対してお金を支払っているので、ある意味、受けて当然のサービスだと言えます。
しかし、その一方で、サービスとは関係なく、実家で上げ膳据え膳の生活をしたり、家の中で旦那さんが上げ膳据え膳の状態を続けたりすると、いろいろと面倒を見る人の負担がジワリジワリと大きくなってくるものです。
ですから、そういった相手の立場を考慮しつつ、時には、自ら動きながら、自分のことは自分でやっていくことも大切ですよね。