こんにちは!“言葉力”編集長のケンです。
先日、あるつぶれかけた会社に新たな社長が就任したという話があったのですが、そのことに対して友人が「今、会社がこんなに大変な時に、社長になるなんて飛んで火に入る夏の虫だよ。」と話していました。
その時、「飛んで火に入る夏の虫」という言葉が気になりまして・・・
これって何の虫なんでしょうか?
ということで、今回は、「飛んで火に入る夏の虫」の意味、使い方、類語、そして対義語について解説をしていきます。
目次
「飛んで火に入る夏の虫」の意味
「飛んで火に入る夏の虫」とは、自ら進んで災いの中に飛び込んでいくという意味のことわざです。
この時、当の本人は、危険だとは思っていないケースがほとんどです。
しかし、周りから客観的に見て、危険な目に遭うことは明らかだと思った場合、忠告をしたり、あるいは受ける側がシメシメと思ったりした時に使うことわざです。
「飛んで火に入る夏の虫」の類語・由来
このことわざは、明かりにつられて飛んで来た夏の虫が火に触れて焼け死ぬという話が語源となっています。
そして、ここで「夏の虫は何の虫か?」と気になる方もいらっしゃるかと思いますが、それは「ヒトリガ」という蛾だと言われています。
ヒトリガは、漢字では「火取蛾」と書きますが、明るいものを見ると近づくだけでなく、火に突入して焼け死んでしまう習性があることから、この名前が付けられました。
また、ヒトリガは極端な例かもしれませんが、虫には、「正の走光性」といって、光のある方向へ近づく本能を持っているものが多いです。
つまり、夜は明かりがないため、光を目印として飛行をする習性があり、その結果、光に近づいてしまうというのですね。
「飛んで火に入る夏の虫」の例文・使い方
次郎
太郎
という感じで「飛んで火に入る夏の虫」は使われたりしますが、他にもこういった使い方があります。
- 治安の悪い地域に自分から行くなんて、飛んで火に入る夏の虫だから絶対に辞めた方が良い。
- 住宅の案内会場に足を踏み入れたら最後、飛んで火に入る夏の虫でなかなか帰してもらえなくなるよ。
- 今、あの国に進出したら、飛んで火に入る夏の虫となって、大損することは目に見えている。
「飛んで火に入る夏の虫」の類語
「飛んで火に入る夏の虫」には、以下のような類語があります。
「愚人(ぐにん)は夏の虫」
「愚人は夏の虫」は、愚かな人は、自分から身を危険に陥れるという意味です。
ここでの“夏の虫”は、「飛んで火に入る夏の虫」の“夏の虫”と同じような意味で使われていますね。
「鴨(かも)が葱(ねぎ)を背負(しょ)ってくる」
「鴨が葱を背負ってくる」は、鴨の肉にネギまで付いてくるなんて、すぐ鴨料理が出来て好都合だというたとえから、願ってもない好機であるという意味です。
もちろん、これは、受ける側にとって好都合であるという点で「飛んで火に入る夏の虫」と意味が共通しています。
また、「飛んで火に入る夏の虫」の“虫”も、「鴨が葱を背負ってくる」の“鴨”も、騙されやすいお人よしというニュアンスがあるという点でも共通していますね。
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「手を出して火傷する」とは、余計な手出しをして、ひどい目に遭うという意味です。
「飛んで火に入る夏の虫」でも、そんなことをすると、火で焼かれるようなひどい目に遭うというニュアンスがありますが、同じようなニュアンスで使われます。
格好の餌食
「格好の餌食」とは、非難や攻撃をするのにちょうど良い対象や標的であるという意味です。
「飛んで火に入る夏の虫」も自ら災いの中に飛び込んだ人は、「格好の餌食」であるという点で意味が似ています。
ただ、「格好の餌食」は、災いの中に飛び込むか、飛び込まないか関係なく、存在自体が狙うのにちょうど良いものだという点で違いがあります。
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「飛んで火に入る夏の虫」の対義語
「飛んで火に入る夏の虫」の対義語としては、「君子危うきに近寄らず」ということわざがあります。
このことわざは、教養があり徳がある人は、自分の行動を慎むので、危険なところには近づかないという意味です。
愚かな人は、「飛んで火に入る夏の虫」で危険なところに行ってしまうけれども、教養や徳がある人は、そんな危ないところには行かないという点で反対の意味だと言えます。
まとめ
「飛んで火に入る夏の虫」という話を聞くと、自分は、自分から火の中に飛び込んでいくようなバカなことはしないと、ほとんどの人が思うことでしょう。
ただ、実際の生活の中では、ついつい危ないことに手を出してしまって、後から、「飛んで火に入る夏の虫」だったというケースは少なくないかと思います。
ですから、そのために、何か行動を起こす時は、いろいろな情報を収集したり、周りの意見に耳を傾けることは必要なのかなと思います。
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